マンチェスター・ユナイテッド 1
69′ マルシアル
ストーク・シティ 1
82′ アレン
”勝てる試合だった”
そうユナイテッド側は感じているに違いない。
試合の主導権を握りながらも、
ラスト30mのエリアでクオリティを見せられず決めきれない。
幸運なチャンスから奪ったリードも守りきれず、
何とも後味の悪い引き分けとなってしまった。
ユナイテッドがホームに迎えたのは、
今季2分4敗、19位と低迷しているストーク。
ユナイテッドはストーク相手に現在13連勝中と相性も良く、
ユナイテッド優勢が確定的とされていた。
前半はリズムとスピードのあるパスワークが冴え、
マタを中心にクリエイティブな攻撃を繰り出していた。
しかしフィニッシュにおける精度に欠け、ネットを揺らせない。
(特にストークGKグラントはこの試合素晴らしく、ビッグセーブを連発)
決めきれない展開が続き、前半が終了。
良く言えば「いつかは点が入りそう」、という雰囲気だったものの、
実際には「いつか点を入れないとマズイ」という印象だった。
後半のユナイテッドは前半以上に攻撃のリズムが上がり、
サイドを中心にチャンスを作っていく。
イブラヒモビッチが前線で基準となることで
ストーク側は後手に回った対応が多く、得点の匂いが出始めた。
しかし良い雰囲気が出ても得点を奪えないのが今季のユナイテッド。
後半立ち上がりは良い雰囲気だったものの、
次第に時間は経過し、いつしか戦局は完全に膠着。
そして状況を打破すべく動いたのが、モウリーニョだった。
マルシアル、ルーニーを同時投入。
これが功を奏し、エリア内のこぼれ球をマルシアルが
見事なシュートでネットを揺らし先制。
ホームで絶対に勝利が欲しいユナイテッドに歓喜の瞬間が訪れた。
しかし喜びも束の間、ストークも反撃を開始し、
コンパクトなプレスからカウンターを仕掛けていく。
ユナイテッドも先制には成功したものの連携が合わず、
得点後も結局はフィニッシュの精度に泣かされ続けた。
そして迎えた82分、右サイドからのカットインしたG.ジョンソンが
左足でシュートを放ち、デ・ヘアがファンブル。
こぼれ球をウォルターズが押し込もうとするもクロスバー、
そしてその跳ね返りを更に押し込んだのがアレンだった。
アレンは2試合連続となる今季2ゴール目。
今夏から加入し、この日も中盤で奮闘していたウェールズ代表が
値千金の同点弾をもぎ取った。
ユナイテッドからすれば悪夢という他ない展開だった。
ただでさえ内容が芳しくない中、
試合終盤に追いつかれるという最悪の状況。
モウリーニョはすかさずメンフィス・デパイを投入するも、
そのまま試合は終了し、引き分けとなった。
途中出場のマルシアルは結果を出したものの、
ルーニーは最後まで決定的な仕事をできなかった。
簡単にボールをロストし、
ボールを受けても良く言えばキープ、
悪く言えばテンポを遅らせてしまっていた。
周囲の動き出しも効果的に使えず、
ただただパスの繋ぎ役となった彼の姿に、
かつてのキングの面影はなかった。
もしこの試合で1-0で勝利していたならば、
かつての強かった時のような「ユナイテッドらしい強さ」と
言う事もできたかもしれない。
内容があまりに酷くても、結局は勝っている、
そんないわば「勝つクラブ」であれた可能性もあったのだ。
しかし結局はチャンスを決めきれないツケを払わされ、
非常に多くの期待を裏切る結果となった。
ユナイテッドは受け入れなければならない。
チームに攻撃における戦術は皆無であり、
個人の判断とクオリティーに依存している事を。
そして、チームの顔であったルーニーに、
もはや絶対的なクオリティーは期待できないであろう事を。
チームは新たなサイクルに突入しており、
過去の栄光を知る選手達からはエネルギーが失われている。
今季、継続して結果を出していくには
選手達に明確な攻撃メソッドを与えるか、
もしくは選手達自身が連動性を深めていく必要がある。
全員がヒーローにはなれない。
それを今一度、考えなければならない。
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Matthew |