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Big London Derby

チェルシー 3

9′ ペドロ・ロドリゲス
20′ アルバロ・モラタ
81′ マルコス・アロンソ

アーセナル 2

37′ ヘンリク・ムヒタリアン
41′ アレックス・イウォビ

 


新指揮官を迎えた両者、開幕戦は対照的な結果に

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ロンドンに本拠地を置く両雄は、共に今夏新指揮官を招聘した。

お互いにW杯もあり主力の合流が遅れチーム再編に追われる中、

両指揮官は自身の哲学に基づいた組織作りを進めている。

サッリ・チェルシーは開幕戦でハダースフィールドに快勝し、

バークリーやD.ルイスなどコンテ前指揮官体制では不遇されていた選手を

先発に起用するなどチーム内の競争も促した。

対してエメリ・アーセナルは開幕戦の相手がまさかのマンチェスター・シティ。

プレミア王者相手に自身の標榜するスタイルこそ示したものの、

チームの完成度では遠く及ばず敗戦を喫した。

結果こそ対照的だが、両者共に目指すフットボールを明確に示している。

マウリツィオ・サッリはハイプレスとショートパスを基本にした

ポゼッション重視のスタイルをナポリと同じくチームに浸透させようとしている。

ウナイ・エメリは前任者ヴェンゲルの特徴であった

アーセナルの代名詞でもあるパス&ムーヴを踏襲しつつ、

如何なる相手だろうと高い位置からプレッシングを仕掛ける事を選手に求めている。

両者に共通する「ハイプレス」というキーワード。

サッリとエメリは互いに「攻守の主導権を握り、試合を優位に進める」ことを

チームスタイルとして目指している事が窺える。

少なくともエメリは”あの”グアルディオラ率いるシティにさえ、

そういった姿勢で試合に臨み、戦ってみせている(結果は残念だったが)。


激動の前半45分。試合は乱打戦の様相を呈す

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試合展開は手に汗握る激しい打ち合いとなった。

アーセナルは前節シティ戦と同じく高い位置からプレスを仕掛け、

チェルシーのDFライン及びアンカーのジョルジーニョに襲い掛かった。

しかしチェルシー、つまりサッリはそれを予想していたかの如く

冷静に対処し、むしろプレスを利用するように空いたスペースを有効活用した。

とりわけジョルジーニョの動きをアーセナルは掴めなかった。

ボールホルダーを中心にその周囲を選手が囲むものの、

5~10mほどのポジション調整でパスコースを作られ奪いきれなかった。

元からチェルシーの選手らが狙っていたのは、

アーセナルを敵陣深くに押し込める事ではなかったのかもしれない。

前がかりになったアーセナルのDFライン裏にひろがる広大なスペース___

それこそがサッリが狙いをつけていたエリアであり、

前半早々にもぎとった先制点はそのスペースに抜け出したアロンソがもたらした。

先制点の起点となったロングパスを出したジョルジーニョしかり、

まさにサッリのプラン通りに得点を奪ったと言えるだろう。

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2点目もまた同じく、ライン裏へ抜け出したモラタが決めている。

そもそもムスタフィやソクラティスは正面きっての対人戦には

絶対的な自信を持つも反面、ライン裏へのカバーリングはやや不得意だ。

抜け出しからのシュートが得意なモラタとのミスマッチも相まった、

理想的とも言える試合運びをチェルシーは見せていた。

特にモラタが得点した意義は非常に大きい。

このゴールで自信を取り戻し、スランプから抜け出してくれることを祈るばかりだ。

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2点のリードを奪ったのだから、あとは試合の主導権を握り

試合をクロージングさせるためのアプローチをするのがセオリーだろう。

前半の早い時間帯だとはいえ、わざわざリスクを犯して

前がかりになる必要性はチェルシーには全くなかった。

ジョルジーニョを中心としたパスワークもまだ捕らえられていない…

そう思ってしまったが故か、2点目を奪って以降のチェルシーは

ダイナミズムを失ってしまい、ゲームの主導権はアーセナルに移る。

2失点でアーセナルは吹っ切れたとも言える。

もはや消極的なプレーは一切必要なく、ただ相手ゴールを目指せばいいのだ。

立て続けに失点こそしたものの、攻撃では決定機も作れていた。

追い込まれたからこそ、アーセナルの選手達の闘志に火がついたのだ。

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徐々に前線でのプレスがハマる。

アーセナルのDFライン裏へ抜け出す選手は、

2得点を機に徐々にその数を減らしていった。

これは単純に失点のリスクを回避するための方策だったのであろうが、

これがアーセナルの選手が前にエネルギーを全力で傾けられる要因となった。

ムヒタリアンとイウォビを中心にチェルシーのパスワークを乱し、

チェルシーを相手陣内に押し込む時間が長くなり始める。

特にモンレアルとベジェリンが高い位置を取れるようになったのが大きい。

インターセプトから流れるような速さで1点を奪い取り、

勢いそのままに同点弾をゴールに突き刺したアーセナル。

赤いユニフォームに身を包む選手らの顔に、最早迷いはなかった。

ガナーズが奪った2点とも、マイナス方向に送られたクロスから生まれている。

押し込まれた時間が続いた事でラインが下がってしまい、

クロスに対してDFライン手前にスペースを作る”悪癖”が露呈した結果に。

前半はこの欠点を修正する事はできず、前半終了の笛にチェルシーは助けられた。


修正し持ち直した後半 サッリの手腕は確かなモノ

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後半早々エメリはジャカに代え新加入のトレイラを投入。

勢いを得て前半戦を終えたアーセナルであったものの、

ジャカとゲンドゥージのコンビが機能性を見せた瞬間は微々たるもの。

ジャカに関してはオフザボールでのポジショニングに問題を抱え、

機動力不足も加わり危険なスペースをチェルシーに与えてしまっていた。

そこでダイナミズムと確かな技術を併せ持つトレイラの起用は理に適っており、

惜しむらくはこれがプレミアデビューであったことくらいだろう。

2得点を奪ったものの、その後のゲームメイクで苦しんだチェルシーだが、

サッリは最低限の修正を施してピッチに選手を送っている。

アスピリクエタはDFラインに留まり、攻撃は左サイドに重心を置く事、

そしてペドロをサイド問わず自由に動きまわる事で、

アーセナルの2ボランチに対してプレッシャーをかけ続ける事だ。

特にベジェリンとムヒタリアンがコンビを組むガナーズの右サイドは

この試合最後まで機能性を示したとは言えない程未成熟なもので、

サッリはこのプランを基にゲームを組みなおしている。

両指揮官の思惑は功を奏し、お互い譲らない切迫した後半を生み出した。

そしてサッリがこの試合を動かす重要な決断を下した。

アザールをコバチッチを同時に左サイドへ投入した事である。

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サッリは見抜いていのかもしれない。

エメリは右サイドのベジェリ・ムヒタリアンが抱える問題を修正できず、

試合を通して具体的なプランを持っていない事をだ。

頼れるエース、そして実力に疑いの余地がない新加入選手を同時起用したのは

ある種の賭けでもあったはずなのだが___

イタリア人指揮官は賭けに勝ったみせた。

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左サイドでラカゼットの不用意なパスを掻っ攫い、

アザールが抜群の緩急を駆使したドリブルで左サイドを強襲。

PA内まで進出していたアロンソにクロスを送り、殊勲の勝ち越し弾。

2点を追いつかれた事でサッリは手腕を問われる形になったものの、

的確に修正し、チームに最高の結果をもたらしている。

特に大きかったのがコバチッチの起用。

この日見せた彼のプレーは完璧に近いもので、

ミスらしいミスはほとんど見られなかった。

(途中ダイブ気味にミスを揉み消すシーンもあったが…)

30分のプレーで見せた彼の可能性は非常に大きく、

完全移籍への期待をせずにはいられない内容だったはずだ。


エメリに迫られる選択と決断

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昨季、そして一昨季のプレミア王者と開幕から戦わされたウナイ・エメリ。

連敗は想定の範囲内だったかもしれないが、

就任当初から示してきた哲学で結果を得られなかった影響は大きい。

W杯のゴタゴタから立ち直れていないエジルを始め、

チーム内には本来のパフォーマンスを示せていない選手を抱えている。

確かにチェルシーとの試合では主導権を握る時間もあり、

ある程度手応えを感じた部分もある事は確かだろう。

だが、ジャカとゲンドゥージ、ベジェリンとムヒタリアンなど

チームにとって最適な組み合わせを考える必要性も感じているはずだ。

シーズンは始まったばかりだが、エメリの下す決断に注目していきたい。


連勝とは裏腹に見せたリスク管理の甘さ

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不調のエジルに機能性を感じないセクションを抱えたアーセナル相手に

2点を追いつかれた事実から目を背けるべきではない。

前半早々にセーフティリードを奪った事は称賛に値するが、

その後の戦い方に関しては疑問の余地がある。

ハダースフィールドとの連戦で見えた課題の中には、

主導権を握れていないときの戦い方が挙げられる。

相手に主導権を握られようと粘り強く戦い結果を出すのは

かつてのチェルシーの十八番とすら言えるものであったが、

今のブルーズにはかつて感じたその”強かさ”が薄まっているように思える。

技巧派は揃っているものの、精神的支柱は未だ不在のままだ。

劣勢を強いられようとも折れず戦い続ける為には、

チーム内で核となる選手を見出したうえで、チームリーダーとしての

自覚と責任を明確に示していく必要がある。

簡単な話ではなく、明確なソリューションを導き出す難易度は高いが、

もし仮にプレミアリーグのタイトルを狙うのなら避けては通れない問題でもある。

マウリツィオ・サッリにとってこの連勝は

一時の安らぎを与えてくれたことは間違いない。

が、それに浸っている時間はそう長くないはずだ。

この記事を書いた人

Matthew Matthew

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