8月7日、新シーズン開幕を告げる試合が今年も行われた。
昨季のプレミア王者とFAカップ王者が対戦し、
来季の命運を占う重要な一戦だ。
昨季奇跡の優勝を起こした”ミラクル・レスター”。
シーズン通して苦戦しながらもFAカップを手にした名門ユナイテッド。
どちらもタイトルを手にしながらも、
印象としては大きく異なるシーズンを過ごした両者が激突、
タイトルを制したのは、新体制のユナイテッドだった。
試合は前半にユナイテッドが先制する。
相手のクリアボールをハーフライン付近で拾い、
ボールを受けたリンガードはタイミングを得たタッチで
レスターのプレスをかわす。
スピードに乗ったリンガードはボディフェイントとタッチで
レスター守備陣を切り裂き、GKとの1対1を制した。
大型補強を敢行し、シーズンを始める重要な一戦で
23歳と若手のリンガードが決めた意義は大きい。
後半に入ってレスターも攻勢に出る。
前半以上に中盤の位置をコンパクトに保ち、
スペースを消すと同時にイブラの抑え込みを図る。
結果ユナイテッドがボールを保持出来るのはブロックの外。
そしてついに、フェライニの軽率にも程があるプレーから、
ヴァーディが強かに同点弾を決めて見せた。
試合は振り出しには戻ったものの、
ユナイテッドの新たなる王、あるいは神が黙っていなかった。
レスターが強固なブロックとカウンターに徹する中、
サイドを中心に起点を作るユナイテッド。
そして後半38分、右サイドからのクロスに対し、
エアバトルに滅法強いモーガンをねじ伏せたイブラが
決勝点となるヘッドをゴール対角線。右隅へと流し込んだ。
昨季までのユナイテッドなら、
主導権を握りながら重要な場面で競り負け失点していた。
しかしながら今季のユナイテッドは”速さ”と”強さ”を感じた。
球際は激しく、相手陣内にスペースがあれば素早く進出。
2トップのプレスに連動性が少なかった後半のレスターは、
幾度となく中盤への侵入を許してしまっていた。
新たな船出を祝うタイトル。
モウリーニョは試合後の会見で、
「重要な勝利だが、やるべき事はまだまだある」
と発言し、野心と向上心を改めて強調した。
かつてのユナイテッドには、
試合の内容がどれだけ悪くても結果は勝つ、
という名門ならではの勝負強さがあった。
ファーガソンの退任後失われてしまった、
勝者のメンタリティを指揮官と”王”はもたしたはずだ。
今季のユナイテッドは、何かが違うはずだ。
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Matthew |