レスターが昨季優勝した大きな理由が彼の存在だ。
ヴァーディが強烈なカウンターは彼のボール奪取から始まり、
マフレズやオルブライトンが自由にアタッキングできたのは、
彼の徹底的なリスクコントロールが大きな影響があった。
単独で相手のカウンターを潰し、
攻撃時にはリンクマンとして幅広く動き回る。
攻守におけるシステマチックな連動は彼が大きな役割を担っていた。
そして今夏、彼は活躍の場をチェルシーへと移した。
CL出場を諦めてまで、彼はここへとやってきた。
4-1-4-1のアンカーとして出場を続けている彼は、
持ち前の運動量をベースに中盤を活性化。
マティッチ、オスカルと形成するトライングルは強力で、
連動してのプレス、組み立て、チャンスメイクを高度に実現している。
また彼がアンカーにいる事で、マティッチはこれまで以上に
ポジションを前へ取る事が可能になった。
元々攻撃的MFだったマティッチが1列上がる事で、
プレスエリアの押し上げとアザールへのサポートがより可能になった。
またオスカルが自由に組み立てに参加でき、
従来のトップ下の時のように狭いエリアに限定されず、
持ち前のセンスをフルに活かしてポジションを動けるように。
オスカル自身も守備のセンスが高く、タックルは鋭い。
相手エリアでボールを奪取する事もしばしばあり、
チェルシーは中盤全域でボール奪取を狙えるようになった。
そしてDFラインの前のスペースもカンテが埋めるようになり、
俊敏な出足でバイタルエリアを封鎖。
スピードに難があるCB陣を大きくサポートしている。
攻守において安定感を得たチェルシー。
その大きな要因は言うまでもなくカンテなのだ。
昨季と大きく変わっていないスカッドだが、
彼の加入によって試合の内容は全く変わった。
昨季のように無駄なロストも、失点も本当になくなった。
昨季では相手のチャンスがそのまま失点に繋がっていたが、
彼の研ぎ澄まされた判断で逆にカウンターのチャンスにすら変化。
彼自身いい選手だったのは間違いないが、
ここまで攻守に渡って良い影響を、それもこれだけ早い段階で
与えるとは思えなかったところだ。
アザールとウィリアンはこれまで以上に攻撃において自由で、
サイドエリアにおけるチャレンジを可能にした。
DFラインとの連動でビルドアップも流動的。
コンテが獲得を熱望した理由は、決して流行に乗ったわけでなく、
彼のチームに必要だと心から判断したからだろう。
現に、彼は既にチェルシーになくてはならないのだから。
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Matthew |