シティはこれまで”哲学”がなかった。
チームカラーと言っても良い、「色」がなかった。
堅守でもなければ、攻撃に明確なスタイルがあるわけでもない。
あくまで多彩な才能を持つ選手に依存したアタッキング、
守備組織を押し出して戦ってきたチームだった。
それゆえ故障者やコンディションが伴わなければ
簡単に試合を落とし、タイトルレースからの脱落を繰り返した。
しかし今季は違う。
グアルディオラは「ポゼッションとプレッシング」と
攻守におけるキーワードを就任当初から表明し、
これまでバルセロナとバイエルンを栄光に導いてきた
自身の哲学をシティへ浸透させようとしている。
いや、既に浸透は始まっており、プレミアの試合も見ても
そのメッセージは強く感じ取る事ができた。
選手間の距離をコンパクトに、守備ラインは徹底して高く。
敵がボールを持てば数的優位から奪い返し、
ボールを保持すればショートパスから創造性を以て攻撃。
バルセロナの遺伝子を感じさせる哲学を、
プレミアでも屈指の戦力を誇るシティに植え付けている。
開幕から2連勝と結果も出した。
今のシティに必要なのは「時間」だと言ってよかった。
ペップのフットボールは完成度は高いが、
選手に対して高い戦術理解とプロフェッショナリズムが求められ、
全ての選手に活躍の場が与えられるわけではない。
むしろ、どれだけ優秀な選手であろうと、
戦術を理解して実行できないのなら戦力とはみなされない。
だからこそ獲得したのはギュンドアンであり、
元教え子のノリートであり、
次世代のスター候補生ストーンズなのだろう。
船出は始まったばかりだが、
今季のシティはこれまでと違うと思える。
スコアが開いた瞬間から手を抜き始める悪癖さえ
克服できれば、自ずとタイトルへ手が届くだろう。
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Matthew |