プレミアリーグ連覇の夢は志半ばにして潰えようとしている。
首位シティとの勝ち点差は16。
決して逆転が不可能なわけではないものの、
シティの安定したパフォーマンスを考慮すればその背中は遥か彼方だ。
昨季のチャンピオンを率いるものとして批判も浴びるコンテだが、
彼の手腕なくして今の3位という順位すら成し遂げる事は難しかったのではないか。
揃わないフロントとの足並み、
アントニオ・コンテとチェルシーの強化部門との溝は、
最早周知の事実と言ってもいいだろう。
主力中の主力であるマティッチを宿敵のユナイテッドに売り飛ばし、
コンテ自身が獲得を希望した選手を連れてくる事はほとんどないのだから、
彼らの距離が遠のいていくのは当然である。
コンテはしばしば会見で強化部門に対する憤りと失望を口にしている。
決して感情に任せて会見での言葉を発しないコンテだからこそ、
どれだけ失望しているのかを物語っている。
モラタ、バカヨコ、リュディガー、クリステンセン、ザッパコスタ___
確かに昨夏獲得した選手のほとんどが主力としてプレーしており、
その貢献度は決して低いものではない。
特にモラタとクリステンセンはポジションを確立し、
チームの出来を左右するほどの影響力を示している。
が、プレミア王者として迎え入れるには質・量共に不足しているのは明らかだ。
新システム採用に戦術変更
マティッチとカンテという抜群のコンビを失った事で、
まずコンテはチームの根幹をなす中盤のバランス構成に追われた。
そもそも昨季プレミアを制した3-4-3が猛威を奮ったのは
単独でも強固なフィルターとなり、かつカウンターの起点ともなる
彼ら2人の存在あってのシステムだった。
代役候補となったセスクとバカヨコだが
セスクは守備面での貢献が乏しく、バカヨコは期待から外れたパフォーマンス。
中盤での構成力に欠けたチェルシーに昨季の勢いは感じられず、
チーム全体の重心を後ろに下げざるを得ない状況に陥った。
そこでコンテは中盤センターを3枚並べた事でバランスを取る事を選択。
結果という意味ではこの采配は功を奏したものの、
爆発的な攻撃力は失われ、昨季印象的な活躍を果たした
ペドロとウィリアンはポジションを失う事になってしまった。
D.ルイスとの確執、火種は今も燻り続ける
フロントだけでなく、コンテは選手との問題も抱えている。
昨季のD.コスタに続き、またもブラジル人のD.ルイスと対立してしまった。
練習中の口論が発端とも言われる確執は
チームの主力であったD.ルイスを事実上の戦力外扱い。
負傷を理由にベンチから外れる事もしばしばある以上、
彼がシーズン後半戦に主力として戻ってくる可能性は低い。
それこそ、負傷者続出による危機的状況に伴う起用か、
イタリア人指揮官の解任でもない限り有り得ないかもしれない。
タイトル奪取の可能性は遠のいてしまっており、
選手らのモチベーションも危惧されるような状況だ。
優れたモチベーターとも言われるコンテではあるが、
彼が立たされている状況は、ロンドンに来て以来最悪と言っていい。
悲願の優勝を狙うCLでは厳しいGSを突破したものの、
ベスト16で引いた相手は宿敵バルセロナ。
ただでさえプレミアとの過密日程で消耗を強いられている状態で
最悪に近い相手を引いてしまった。
仮に惨敗を喫すればコンテの進退に決定的な影響を及ぼすだろう。
ここから数か月、コンテは1試合たりとも気の抜けない日程が続く。
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Matthew |