首位独走、完璧なシーズンを謳歌
リーグ戦22試合を消化した時点で
20勝2分、64得点13失点で首位独走、
2位のユナイテッドとは勝ち点差15と盤石なシーズンを過ごしている。
18連勝というプレミアリーグ新記録を樹立するほど完璧なチームは
攻守に隙なく、安定した試合を継続している。
就任2年目ということでチームに哲学を浸透させる事に成功した
ジュゼップ・グアルディオラ監督。
莫大な放映権料を背景に実力者を揃えるプレミアにおいても、
シティというクラブの存在は孤高の高みにすら到達しようとしている。
攻守の要として絶大な貢献を果たすエデルソン
セレソンにも名を連ねるエデルソンが
シティに適応するのにそう時間はかからなかった。
溢れ出る自信、強烈なパーソナリティーを以て守備陣を束ね、
さながら中盤の選手のように高度なボールスキルをも備えている。
セービング、ポジショニング、判断力…
およそGKに求められる素質と能力に疑問の余地は一切感じられない。
そして何より、グアルディオラのチームに必要な
「ポゼッションの起点」となるに値するパスセンスが、彼にはある。
相手の前線から猛烈なチェイシングを受けようとも平然とボールを繋ぎ、
苦し紛れの処理しにくいマイボールが届けられようと何も問題はない。
昨季シティの課題は、GKからのビルドアップにあった。
正守護神として加入したブラーボは安定したパフォーマンスを発揮できず
相手からのプレッシャーを避けるようにロングボールを蹴る機会が多かった。
元々ロングボールの精度に関してはさほど高くないブラーボの為、
相手陣内に蹴り込んだボールはその大体が相手へのプレゼントとなってしまう。
「ロングパスという選択肢を否定する気はないが、
マイボールを放棄する選択に等しい事は確かだ」
シティを相手にするなら、DFラインにプレスを仕掛けGKに持たせる__
それが2016-17シーズンにおける対シティ戦のキーポイントでもあった。
しかし、今季はそうではない。
エデルソンは距離を問わず正確無比な弾道で前線の味方にボールを届ける。
それは流れの中だけでなくセットプレー時でも同様で、
自陣深い位置からのリスタートであっても特大のチャンスをもたらす事も。
シティの前線にはスピードに優れた選手が多く、
相手DFライン裏のスペースに寸分の狂いなく届けられるエデルソンのパスは
相手からすれば悪夢という他ない状況だろう。
22試合13失点という結果が示すように、
エデルソンは単純にゴールキーピングにおいても最高の成果を出している。
彼の存在なしに、今季のシティを語る事は難しい。
選手の潜在能力を開花、成長を促すグアルディオラの妙
バルセロナという明確な哲学を持ったクラブで栄光を築き、
類稀なる戦術家として名を馳せているグアルディオラ。
しかし彼の真髄は選手のポテンシャルを最大限引き出す点にもある。
徐々に才能を開花させつつあったデ・ブライネを今やワールドクラスにも
匹敵するようなクラスにまで引き上げ、
伸び悩んでいてたスターリングはイングランド屈指のアタッカーだ。
今季のパフォーマンスで言えば、中盤が本職のデルフの活躍も見逃せない。
左サイドバックで絶大な存在感を放っていたメンディが長期離脱すると
半ばスクランブルの形でデルフがそのポジションを埋めることに。
この判断が正しかった。
豊富な運動量で鳴らしていたダイナモだっただけに、
90分間サイドラインを上下する事には何の問題も生じない。
足元の技術、状況の判断力が磨かれた事で不用意なボールロストは乏しい。
強力なミドルシュートは閉塞した状況を打開するにも打ってつけ。
デルフだけでなく、ザネ、ストーンズ、オタメンディ、フェルナンジーニョ___
今季グアルディオラの下、確かな成長を示す選手は名を挙げればキリがない。
シティを止めるには劣勢覚悟の堅守速攻がカギか
リーグ戦では未だ黒星を喫していないシティだが、
その全ての試合が順風満帆に進んだわけではない。
各国代表クラスを揃えるプレミアの各クラブでさえも、
シティに対してはマイボールを棄て自陣深くに閉じこもるチームも多い。
(閉じこもらざるを得ない、という見方もできるが)
屈強なDFを揃えるプレミアだけに、ゴール前で密集したプロテクトを崩すのは
いかにシティといえども容易なミッションではない。
自陣で堅いブロックを保持し、数少ないチャンスをモノにする。
弱者としての立場を受け入れるような戦い方をせざるを得ないだろう。
シティのCB、オタメンディとストーンズは両者共に今季安定はしているものの、
未だ粗削りな部分は残ってしまっている。
特にオタメンディは感情に任せたラフプレーに走る傾向が強く、
重要な試合を台無しにしてしまうリスクが拭えない。
コンパニも負傷癖から抜け出せていない以上、
シティはCBの実力者を今冬獲りに行くはずだ。
ファン・ダイクは引き抜けなかったが、
その資金力に疑いはない以上、大物を釣る可能性は高いだろう。
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Matthew |