昨季圧倒的な強さを見せリーグ王者に立ったチェルシー。
しかし今季は、波に乗り切れず苦しい試合内容が続いている。
首位シティとは既に9ポイントの差を開けられ、
返り咲いたCLではローマ相手に完敗、首位の座を渡した。
ビッグゲームこそチェルシーの真骨頂ではあったが、
今のチェルシーはギリギリの戦いを制す事が出来る状態とは言えない。
ワンチャンスをモノにするだけの強かさは失われ、
重要な試合でも決定的なミスを繰り返してしまっている。
今現在の大きな要因としてはMFカンテの不在、
そしてアザールとモラタへの大きな依存があるだろう。
カンテが負傷によりチームを離れる中、
中盤センター2枚を務めるのはバカヨコとセスク。
バカヨコはフィジカルとダイナミズムに優れる選手ではあるが、
新加入な為セスクとの連動性に欠け、中盤を支配できる程の域には達していない。
セスクもその為かプレーの精彩を欠く場面も増え、
ゴール前への果敢な飛び出しも少しづつ鳴りを潜めてしまった。
元々中盤センターが2枚である以上、数的不利に陥りやすいチェルシーだが、
カンテが広大な範囲をカバーする事によりそのバランスが保たれていた。
瞬間的なインテンシティーではバカヨコが優れてはいるものの、
カンテが担っていた役割をバカヨコが全うするのは難しいだろう。
ドリンクウォーターが長期離脱から復帰した事は心強いが、
連動性という問題は結局は解決できない。
格下相手ならともかく、同格以上の相手となれば
中盤を3センターで占める布陣を用いざるを得ない。
コンテ自身その布陣を何度か試しある程度結果も出しているが、
完成度が高いとは言えず付け焼刃の戦術である事は確か。
中盤の支配率を高める解決策を見出す必要性がある。
アザールの仕掛けが今のチェルシーの生命線と言っても良い。
チェルシーにおけるビッグチャンスは彼を経由する事で生まれ、
今の彼のコンディションであればマーカーの1人、2人は苦にならない。
それだけに、彼抜きでの試合では攻撃の質に大きな差が生まれてしまう。
重要性という点では、モラタの存在も忘れてはならない。
今季新加入でエースという重責を担ったものの、
開幕からコンスタントにゴールを積み重ね期待に応えている。
反面、アザールと同じく代えの利かない重要な選手なのだ。
控えのバチュアイにもはや大きな期待を寄せる事は難しく、
モラタがいる、いないでは攻撃の形そのものが変わって来る。
カウンター時でも大きな機動力を発揮するため
ボール奪取後縦に速く展開するチームスタイルにも最適な人材だ。
冬の移籍市場、彼のバックアッパーとして計算できるFWを獲らない限り、
慢性的な得点力不足に陥る可能性は否定できない。
今のチーム状態が続くようであれば、コンテの続投すら危ぶまれるだろう。
![]() |
Matthew |