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”縦の崩し”がチェルシーを変える

アントニオ・コンテはイングランドに「3バック」を布教した。

イングランドといえば4-4-2の国であり、

古き良きキック&ラッシュを伝統としてきたフットボールの本場だ。

2000年代に入り、国外選手及び指導者が多く流入した事で

イングランドの地にも様々なチーム戦術がもたらされたが、

「3バック」というメソッドは、全くと言っていいほど根付かなかった。

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昨季新指揮官として就任したコンテも、

シーズン当初は4-3-3のシステムを用いていた。

プレシーズンで3-4-3のシステムを採用した時期もあったものの、

元々システムに馴染みのないチェルシーの選手達が咀嚼を行うには時間を要した。

ライバルとの決戦で連敗を喫しコンテは3-4-3へのチャンレンジを再び行い、

見事プレミア新記録となるシーズン30勝を達成し載冠している。

昨季のチェルシーを支えたのは紛れもなくサイドアタックのクオリティーと言える。

WBでブレイクを果たしたモーゼスを始め、

プレミア初年度とは思えない程素早くフィットしたM.アロンソ。

そして何より、攻撃の両翼を担ったペドロとアザールの出来が素晴らしかったのだ。

ただでさえ単独でも厄介なアタッカーを擁しているうえに、

走力と機動力に優れた両WBの存在は大きく、対戦チームは敗北を重ね続けた。

元々プレミアリーグはサイド攻撃の文化が強く多彩なアタッカーは多いが、

それでも彼らに対抗できる程サイドに強みを持つチームは僅か。

コンテは、プレミアリーグのサイドを制して勝利を得ていたのだ。

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チェルシーの勝利はプレミアに3バックの文化をもたらした。

あのライバルのアーセナル、アーセン・ヴェンゲルさえチーム立て直しの

僅かな望みを3バックの新機軸に求め、実際に成功を掴んでいる。

(一時的なものではあったが)

しかし成功を収めてしまったが故、

ライバル達は同じ失敗を繰り返さないようチェルシーを綿密な研究で丸裸にした。

今季のチェルシーは、決して昨季からの継続だけでは勝てない状況だ。

マンチェスターの両雄がその豪腕を以て大型補強を行い、

ロンドンの宿敵たちはタイトルに飢えて「打倒ブルーズ」に燃えている事だろう。

そんな状況下コンテがチェルシーに提示した新たな武器が、”縦の崩し”である。

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魅力的な両翼はそのままに、システム自体は昨季と何ら変わらない。

昨季はピッチを幅広く使っての攻撃が主流で、

ビルドアップの狙いもサイドの深い位置を強襲する為の下準備の意味合いが強かった。

しかし、今季のチェルシーはよりダイレクトにゴールを目指すシーンが目につく。

アルバロ・モラタというワールドクラスの候補生が最前線にそびえる上で、

彼のスピードと技術を活かす方法を考えたのだろう。

モラタ自身その類稀なスピードと足元の技術は折り紙つきだが、

前任者のD.コスタとはプレースタイルが決定的に違う。

敵を背負ってのポストプレー、単独での突破が彼の特徴ではないからだ。

その為、今季チェルシーの両WG(ペドロ、アザール、ウィリアンら)は

モラタと2センターハーフ(カンテ、セスク、バカヨコら)の中間を位置取り、

ボールを引き出して攻撃のリズムを構築している。

特にプレシーズンから取り組んでいた事だけあり、選手間の連携はスムーズで効果的。

相手ボランチの選手をウイングの2人が囮となり引き付け、モラタに直接フィードし

巧みなポストプレーで両ウイングにボールを落とし決定機へ____

今季のチェルシーで何度となく見た光景だ。

エバートンは最後まで”縦の崩し”を抑え込む事が出来ず、

グイェとシュナイデルラン、ボール奪取に定評のある彼らでさえ何もできなかった。

更に中央で効果的なアプローチを繰り返す事で、

相手は否が応にも中央寄りに布陣せざるを得なくなる。

そうなれば、昨季と同じように両WBが活きてくるだろう。

中央に偏り始めた相手チームの両サイドには、広大なスペースが存在しているのだから。

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今夏の補強にコンテ監督が満足しているはずがないのは確かだが、

それでも現有戦力を最大限活用し、最適なソリューションを導き出す手腕は流石だ。

巧みな用兵戦術で大事な試合を制する力はイタリア代表指揮官の時に証明しており、

限られた選択肢の中で常にチームをポジティブな方向へ導いている。

激情家だが冷静に判断を下せる彼だからこそ、昨季のタイトルがあったと言えるだろう。

モラタに代わるストライカーの不在など問題点は少なくないが、

厳しい状況だかこそ活路を見出す重要性をコンテは理解している。

昨季成し遂げた破竹の連勝街道も、ライバル達との連敗から始まったのだから。

まだまだシーズンは始まったばかり。

マンチェスターの彼らに簡単に負けるようなことなど、

コンテが許すはずもないだろう。

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Matthew Matthew

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