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反逆の赤い悪魔

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厳しく、暗い長旅と別れを告げる時が来たのかもしれない。

時代を創り続けたサー・ファーガソンが勇退して以降、

名門ユナイテッドは栄光とは程遠い時間を過ごしてきた。

新たな時代を期待されたモイーズは

「古き良きイングランド・スタイル」のフットボールを目指し、失敗。

最先端のポゼッションを取り入れる為招聘されたV.ハールは

コンセプトこそ赤い悪魔にもたらしたものの、

安定した成績とは無縁で、尚且つ勝負強さをクラブから喪失させてしまった。

名門の意地と矜持を再び示すため呼ばれた昨季の指揮官は、

かつてファーガソンが「盟友」と惚れ込んだ、その他大勢とは違う”特別な男”

ジョゼ・モウリーニョは就任1年目から3つのタイトルを名門にもたらす。

コミュニティ・シールド、カーリングカップ____

そして何より、ユナイテッドが唯一保持していなかったタイトル、

ヨーロッパ・リーグのトロフィーを勝ち取って見せた。

そして、勝利至上主義の指揮官は2年目となる新たなシーズンを迎えた。

「就任2年目には必ず国内リーグを優勝する」

絵空事にしか聞こえない実績を残してきたモウリーニョ。

だが、開幕2試合の結果だけを考えれば、こう断言できるだろう。

今年はユナイテッドのシーズンだ、と。

 

 


耐え忍び、試合を制す「強かさ」

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「モイーズとV.ハールはユナイテッドの何を失わせたのか?」

この問いは多くの議論を呼び起こすであろうが、

1つ答えられる事とすれば「苦しい時間を耐えられる事」だろう。

モイーズはサイドアタックに固執する余り簡単に対策をされ、

V.ハールはマイボールを保持できなければそもそもチームとして成立しなかった。

そして両者共に、攻撃に関してのコンセプトは明白だったものの、

守備時における組織的な戦術や選手へのアプローチに欠けていた。

その為カウンターを受けた場合は常に守備選手の個人能力に全てを委ね、

ネガティブ・トランジションに対する脆さを最後まで克服できず、解任された。

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就任1年目、モウリーニョはDFラインに常に苦悩した。

 

常にCBには負傷者を抱え、

試合を安定させるにはベテランのキャリックを起用せざるを得ない程だ。

そこでモウリーニョは、先任者達が失わせた「組織的守備」を構築する。

人選に関わらず、守備時における約束事を徹底させ、

起用メンバーに左右されない強固なプロテクトの構築を目指す___

決して簡単ではないミッションではあったが、

その任務の成功なしに、リーグとELを戦い抜く事は不可能だった。

そして組織的な約束事を徹底させる事で、

経験の浅いトゥアンゼベらの活躍などサプライズも引き起こした。

そして組織的に戦い、劣勢でも耐えられるチームを指揮官は作った。

EL決勝こそ、彼が作り上げたユナイテッドの集大成だったはずだ。

ボールを持っていた時間は圧倒的にアヤックスだった。

だが、2-0と快勝したのはマンチェスター・ユナイテッドだ。

相手にボールを持たせて主導権を握る。

国際タイトルの決勝でそんなプランを、

モイーズやV.ハールが準備し、選手に浸透させ、結果を残せただろうか?

リーグ戦では15分けを喫し勝ち点をこぼしてしまったが、

敗北数はわずか「5」、優勝したチェルシーと同数だ。

つまりモウリーニョは敗北を引き分けに引き上げた

2年目、彼が行う事は無論、引き分けを勝利へ更に昇華させる事だ。


強く、速く、献身的に

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スカッドに強靭なフィジカルを備える選手を揃え、

強固なブロックと爆発的なスピードがユナイテッドの新たな魅力だ。

バイリー、リンデロフらを筆頭に、

スモーリング、P.ジョーンズらCBは人に強く、エリア内で強さを発揮。

さらにバイリーとリンデロフはビルドアップでも貢献できる

近代型のセンターバックであり、攻守での活躍が期待できる。

サイドバックにもバレンシア、ブリント、ダルミアン、ショーら

それぞれ個性的な魅力を持つ選手をそろえる事が出来た。

引き抜きの噂が絶えないダルミアン、負傷を繰り返すショーは

決して満足できるパフォーマンスを見せてはいないが、

バレンシアとブリントは既にチームで確固たる地位を築いており、

モウリーニョも全幅の信頼を寄せている。

ここにトゥアンゼベら新星らが加われば、DFラインは強力な武器となる。

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そして前線は、ルカクの加入により「爆発力」を秘めている。

単独で相手DFを制圧し、ゴールを奪う事も可能な彼の存在は

ユナイテッドに非常に大きな影響を及ぼしている。

両翼にスピードに優れたラッシュフォード、マルシアル、リンガードら

一瞬のカウンターで敵陣を強襲できるだけの人材に恵まれている。

CB単独でルカクを抑える事はほぼ不可能。

柔軟なポストワークで敵最終ラインでボールをキープし、

敵陣の深い位置で基準点を作るシーンは今季何度も見られるはずだ。

機動力溢れるウインガーらは彼を追い越しチャンスに繋げるだろうが、

その局面を恐れて相手DFがズルズルとラインを下げるとなれば理想的。

ポグバ、ムヒタリアン、マタら創造主たちが、

彼らの空けたスペースで最高のプレーを魅せられるのだから。


チーム最後のピース、マティッチ

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何より今季忘れてはならないのがマティッチの加入だ。

彼の獲得をモウリーニョが熱望したのも、

開幕2試合で果たした役割と結果を踏まえれば至極当然の話だろう。

4000万ポンドと決して安い買い物ではなかったが、

彼の存在によりもたらされる影響を踏まえれば、安い買い物だ。

中盤の底で最終ラインを強固にプロテクトしつつ、

豊富な運動量でピッチを幅広くカバー。

足元の技術にも優れている為、ビルドアップの経由点として

他の選手が高い位置を取り続ける事も可能にしている。

そして何より、彼の加入でポグバは様々な制約から解き放たれた。

マティッチは誰よりもポグバの位置を考えてプレーしている。

ポグバが高い位置に進出すれば、最も危険なエリアを埋めリスクを管理。

ポグバが低い位置でボールを触りに来るのであれば、

すぐさま彼と最前線を繋げられるようポジショニングを取る。

昨季のポグバは常に”頭で考えて”プレーしていた印象が強い。

良く言えば論理的に、悪く言えば「気を遣って」プレーしていたのだ。

だが、彼の良さは周囲への的確なサポートでも、チームの潤滑油としてでもない。

絶対的な個のクオリティーを発揮するためには、

ポグバが自分の心に従い、本能でプレーし続ける必要性がある。

モウリーニョ自身、マティチにそう促しているのであろうが、

ポール・ポグバの才能を最大限引き出す、最高の相棒としてマティチは存在する。

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194cmという恵まれた体格ながら柔軟な技術を備えるマティッチ。

運動量、戦術的インテリジェンス共に申し分なく、

間違いなくリーグ随一の中盤選手だと断言できるだろう。

事実、彼は一昨季チェルシーにリーグ優勝の原動力となっているのだ。

現在のユナイテッドでは、昨季のキャリック以上に

代えの利かない選手だと言えるかもしれない。

それだけ彼の果たす役割は重要で、絶対的なのだから。


待たれる新世代達の覚醒

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実力と実績を備える選手を多く備えるユナイテッドだが、

将来が期待される次世代のスター候補生達も少なくない。

名門が誇るアカデミーからラッシュフォードやリンガードが現れ、

覚醒待たれるマルシアルの存在も忘れてはいけない。

特にマルシアルは今季期待できる役者の1人。

昨季親友のポグバの加入に伴い刺激を受けたか、

今季はプレシーズンから非常に良いアピールを続けている。

最大5800万ポンドという破格の移籍金で名門に挑んだ彼だが、

ここまではその期待に見合った実力を示す事は出来ていない。

毎オフ移籍が騒がれる事もあり、彼自身今が正念場だと捉えているのだろう。

今の彼はボールを持てば積極的に仕掛け、

冷静なフィニッシュを繰り出し続けている。

ルカクとの相性の良さも出てきており、今季が非常に楽しみだ。

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18歳で鮮烈なデビューを飾ったラッシュフォードは、

未だそのインパクトは示せているものの

今1つ殻を破りきれないでいる。

デビュー時はただひたすらにピッチを走っていた彼だが、

今のラッシュフォードからはその”ひたむきさ”が感じにくくなっている。

周囲への不満を漏らすシーンを目につくようになり、

独善的なプレーに走る傾向すら少しづつ出始めてしまった。

誰よりも高いポテンシャルを備えている事は明らかだが、

今の彼に求められているのは精神的な成長である。

彼がデビュー時活躍できたのは、偉大な先輩たちのサポートあっての事、

その事実を忘れてしまっては、彼の限界が見えてしまうだろう。


全てのタイトルに挑戦するモウリーニョ

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昨季モウリーニョは、リーグを見捨てて

ELのタイトルへ全力を尽くす事をメディアで明らかにした。

確かに負傷者と過密日程を考慮すれば合理的な判断とも言える。

だが、タイトルこそ全てと語る指揮官がそう判断する事自体、

かなり屈辱的だったのではないだろうか。

それはつまり、自身のリーグ戦における手腕の失敗を認める事でもあるのだから。

誰よりも全力て取り組んできたからこそ。

今季のユナイテッドは質・量共に非常に素晴らしい陣容を確保した。

新戦力の多くは既にチームにフィットしており、

若手の成長も著しく感じ取れている事だろう。

今季は、必ず最後まで全てのコンペティションに全力を尽くすだろう。

なぜなら、今季は就任2年目なのだから。

 

この記事を書いた人

Matthew Matthew

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