チェルシー 2
68′ モラタ
88′ D.ルイス
バーンリー 3
24′ ヴォークス
39′ ウォード
43′ ヴォークス
故障者を抱え不安が募るアタッカー陣
エースであったD.コスタは構想外となりスカッドを離れ、
ペドロとアザール、期待のバカヨコは故障で離脱中。
代役になるはずだった期待の若手たちはレンタルで離れており、
チームの顔ぶれには一抹の不安が残るまま開幕戦を迎える。
この日、右ウイングには頼れるウィリアンがいたものの、
中央には未だ真価を発揮できずにいるバチュアイ、
左にはレンタルから復帰したばかりのポガが抜擢。
昨季プレミアを席巻したアタッカー陣は不在で、
ポガも高いポテンシャルはあるものの役不足感は否定できない。
DFラインには新加入のリュディガーが起用され、
ベンチには同じく新加入のモラタがメンバー入りしており
今夏加入した新選手が多く顔を並べた。
試合を左右したのは紛れもなくジャッジではあったが…
この試合の流れを大きく左右したのは主審であったことは確かだ。
足裏を見せ印象が悪かったのであろうが、
わずか開始14分にケーヒルが一発退場した時点で試合は狂い始めたのだ。
それ以降明らかにチェルシーの選手は精彩を欠き、
声をかけるではなく、怒声の張り合いが行われていった。
後半にはセスクにこの日2枚目の警告でさらに退場者を出すなど、
チェルシーにとっては悔やみきれないほど、残念な判定が続いしまった。
軽率なプレーで退場してしまったケーヒルとセスクは反省すべきだが、
それでも不可解な部分が残る、なんとも後味の悪いジャッジだった。
立て直せない脆さも露呈
何より問題だったのは、悪い流れのまま時間が経過してしまった事だ。
昨季優勝を手繰り寄せるゴールを奪ったバチュアイは沈黙し、
崩しの切欠はウィリアンの個人技とセスクのパスセンスのみ。
高い位置まで進出し、両WBも果敢にサイドを攻め込むが
エリア内でのクオリティーが不足し得点には至らなかった。
数少ないチャンスを手堅く決めきるバーンリーによって
スタジアムも選手の雰囲気も徐々に悪化していったのは明白だったが、
ピッチ内でその空気を払拭できた選手はいなかった。
そこがこの試合の大きなポイントでもあっただろう。
プレーで流れを変えようとする選手こそいたが、
メンタル面の部分でチームを支えられる選手がいなかったのだ。
わずかな光明をもたらしたモラタ
だがチェルシーにとって全く収穫の無い試合ではなかった。
先発したリュディガーはフルタイム出場で貢献し、
初挑戦のプレミアの舞台で十分立派に戦って見せた。
スクランブルで抜擢されたポガも短い時間ながら献身性は示し、
何より新エースのアルバロ・モラタはチームにスピリットと結果を残した。
モラタのデビュー戦は3点ビハインドという最悪に近い状況だったが、
ピッチに入った瞬間からモラタは誰よりも貪欲に得点を狙った。
常にアクションを起こし、ボールを引き出し、味方に要求した。
1ゴール1アシストという、ストライカーとして何より結果を出したのだ。
結果論で語る事が許されるのであれば、
モラタが先発すべきだった事は誰の目にも明らかであったはずだ。
また、この日長年のレンタルから復帰したクリステンセンの存在も光った。
ボルシアMGで確かな地位を築き、
若手ながらも経験と実績を手にしてチェルシーへと帰ってきた。
ケーヒル退場によって回ってきた出番ながらも
随所にセンスが光るプレーでチームに貢献し、交代するまで奮闘した。
新加入の選手が数多く出場し、経験を積むことが出来た。
更には悔しい敗北を味わったのだから、
今後の成長に欠かせない材料を得る事も出来たと言えるはずだ。
個に依存しない攻撃のサイクルを___
モラタのブレイクを予感させる試合ではあったが、
ではそのモラタがいなければ、と思ってしまうのは仕方のない事。
それだけ、モラタが入るまでのチェルシーは脆さを露呈していたのだ。
安定して良さを発揮できていたのはカンテくらいで、
焦りやフィットネス不足なのからしくないミスを選手は犯していた。
失点に関してはヴォークスの決定力とウォードの素晴らしいゴールだったのだから、
反省すべき点はまだ少ないだろう。
問題は何より攻撃の方にこそ感じ取れた。
アタッキングサードに至るまでのプロセスは流石だったが、
そこから得点に直結させるだけのアイディアと精度に欠けてしまった。
最終的な崩しの局面では個人のクオリティーに依存している以上、
スカッドの戦力値がそのまま得点力に直結しているのだ。
連携面においても問題は多く残っている。
入団して1年を経過した今でもバチュアイは周囲と噛み合っておらず、
如何にセスクにボールが集まろうと、
受け手がいなければ上質なパスは何ら意味を成さないのだから。
チームとしてどれだけ得点のイメージを共有し、
ビルドアップからフィニッシュまでを連携して行えるかが重要だ。
それができなければ、ビッグイヤーなど夢のまた夢で終わってしまう。
新シーズンは苦しいスタートとなったが、
それでもチェルシーが優勝候補なのは間違いない。
マンチェスターの両雄も序盤から飛ばしてくるはずで、
気を抜ける時間は1秒たりとも存在しないのだ。
まずは今回の敗戦から学び、悔しさを受け止める必要がある。
チームの誰もが危機感を改めて感じ取り、
次のトッテナム戦に臨まなければならない。
長いシーズンが始まったばかりだが、
油断している暇などない事が、身に染みて理解できただろう。
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Matthew |