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アーセナルは補強にどう動くべきか

代えるのであれば、今だったはずだ。

リーグタイトルから14年も見放され、

今季はとうとう欧州最高の舞台、CLへの切符も失った。

世界で最も歴史のあるFA杯を獲得できたが、

「今のチームでもタイトルを争える」という証明にはならない。

むしろ、去り際に花を添える最高の置き土産____

そう考えていたサポーターは少なからずいただろう。

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来季で就任23年目を迎えるアーセン・ヴェンゲル指揮官。

ムービング・フットボールを信条にパスを繋いで攻撃し、

未来ある若手を信じて起用し続けてきた。

現代フットボール界では「異常」とさえ言える程の長期政権を築き、

その影響力は単なる1人の指揮官をとうの昔に越えている。

これまでがそうであったように、来季もまたそうであるだろう。

が、チームが置かれた状況は必ずしも良くはない。

先述のようにCLへは行けず、主力選手の引き抜きの噂は絶えない。

それこそ、数年に渡り常にチームを常に牽引してきた

サンチェスやエジルらも流石に嫌気が指してきたはずだ。

タイトルを本当に心の底から願うのであれば、

いるべき場所はアーセナルではない事くらい、彼らは気付いている。

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今季終盤、形振り構わなくなったヴェンゲルは

10数年ぶりに「チームのシステムの1つの選択肢」として3バックを使った。

急造システムの狙いは「負けない試合を作る」事であり、

その目的は思いのほか結果に繋がったように思える。

しかしではチームの基本コンセプトに据えるのかと言えばNOだ。

負けない戦いをつづけ、しぶとく勝ち点を拾うスタイルを

エミレーツのサポーターたちが受け入れるはずもない。

そんな戦い方はWBAやバーンリーにでもやらせておくべきで、

あくまでアーセナルの神髄は勝ちに行く事であるはずだ。

その軸さえもブレてしまうようなら、それは変化ではなく衰退だ。

それこそ、ヴェンゲルは第一線から退き、フロントに入るべきだ。

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実力者は揃っている。

チェフ、コシエールニー、エジル、サンチェスと

欧州でも屈指の実力を誇る選手を各ポジションに揃えてはいる。

が、今のリーグタイトルはそれだけで奪取できる程甘くはない。

全てのポジションの選手がシーズン通して安定し、活躍し、

それこそ誰からも賛辞を贈られるような働きをしない限り不可能だ。

レスターのようなおとぎ話なんて当てにしてはいけない、

彼らは誰もが最後の1秒まで体を投げ出し戦い抜いた。

じゃあそれがアーセナルに出来るかと言えば….

もしできているのなら、ビッグイヤーでさえ獲れていた事だろう。

如何にコシエールニーとチェフが獅子奮迅の働きをしたとしても、

安定感に欠けるガブリエウがミスを続けたのでは意味がない。

いかにエジルが魔法のようなパスを繰り出し、

サンチェスが縦横無尽に敵陣を切り裂いたとしても、

ボランチが相手の圧力に耐え切れず主導権を握らせては元も子もない。

主導権を握った時のアーセナルは強いのは確かだが、

握られた時に脆いのはここ10年ほどのガナーズの永遠の課題だ。

(それが出来るチームがごく僅かなのも確かだが)

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来季のアーセナルの目標は何よりもリーグタイトルだ。

CLには出られず、FA杯には最早さほどプライオリティーは無い。

戦い方も変えない、となれば必要なのは選手起用となる。

まずヴェンゲルが解決しなければならないのが

サンチェスを始めとする主力選手の慰留である事は明らかだ。

特にサンチェスは今月ロシアで行われるコンフェデ杯に出場しており、

「移籍に関しては全て代理人に任せている」と発言。

代理人のフェルナンド・フェリチェヴィッチは

バイエルンやユヴェントスとの関係が深い事で知られており、

アルトゥーロ・ビダルのバイエルン移籍に携わった人物である。

そして9日に英紙『ミラー』はバイエルンがサンチェス獲得に本腰を入れ、

移籍金4000万ポンド、週給28万ポンドの破格のオファーを提示とした。

獲得への興味を含まれば複数クラブがサンチェスを狙っているのは事実。

エジルも古巣シャルケへの復帰を将来的に希望している発言をし、

アーセナルが終の棲家となる事自体には否定的。

チェフ、コシエールニーらは既にキャリアのピークを迎えており、

これから数年間チームのアイコンとして望むのは酷な話だ。

となれば否が応にも補強に迫られるわけだが、

従来通り先行投資の意味合いが強い移籍はもはや何ら意味を持たない。

必要なのは昨夏におけるホールディングではなく、ジャカなのだ。

即戦力としてチームで活躍でき、結果に対してアプローチする必要がある。

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GKチェフ、CBにムスタフィとコシエールニー。

右サイドバックにベジェリンがいるとなれば、

やはり問題は左サイドのクオリティにある。

確かにモンレアルはバランサーとして良い選手なのは確かだが、

スピードに欠け、重要な試合で守備の穴になる事は頂けない。

年齢的にも彼にフルシーズン活躍を期待するのは難しい以上、

左サイドに活きのいい人材が必要不可欠となる。

むしろ左サイドバックが強みになるようになれば、

守備組織全体は安定し、継続して攻撃的にも振る舞えるはずだ。

その意味でもシャルケから加入が決定したコラシナツは良い選択だ。

左サイド、センターバック、中盤と幅広くプレーでき、

チームに複数の選択肢と競争を生み出す事が出来る。

若手ながらもシャルケで多くの経験を積んでおり、

心から期待できる数少ない選手になるはずだ。

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中盤にも人材自体は多くいる。

ラムジーやコクランはチームの中核を成しており、

エルネニーとチェンバレンもセンターで飛躍しつつある。

ベテランのカソルラが加われば頭数自体は何も問題なく、

昨夏のジャカが来季よりチームにフィットすれば爆発力も期待できる。

が、それでもリーグタイトルを獲れるのかと問われれば難しい。

ラムジーは元々攻撃的なアタッカーよりな選手で、

コクランは守備には定評があるが軽率なプレーで警告を重ねる。

ジャカも実力に疑い余地はないが退場癖とムラっ気が治らず、

若手のエルネニーと負傷の絶えないカソルラではとても….。

チェンバレンに関しては3バック採用時のウイングで輝いたように

やはり彼はサイドを主戦場とすべきなのは明白で、

センター起用はあくまでオプションとしてに留めるべき。

そうなれば、ジャカの相棒探しが現実的な補強と言えるだろう。

高いインテンシティーで中盤を制圧でき、

攻守の両局面で顔を出せるようなダイナミズムを求めたい。

PSGのマチュイディのようなタイプが理想的だが、

モナコのバカヨコのように将来性のある選手ならばより良い。

どちらにせよ、大枚をはたいてでも中盤には人材が欲しい所。

ラムジーもコクランも良い選手である事に間違いはないのだが、

彼ら自身これ以上の成長、ないし自分の殻を破るのは難しいだろう。

ラムジーはむしろ、2列目などゴールに近い方が性に合っている。

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もしサンチェスとエジルを慰留できるのなら、

2列目の問題は比較的少なくて済む。

ラムジーやチェンバレン、イウォビなど人は揃っており、

事実FA杯優勝の原動力はやはりこのポジションの力あってこそだ。

その意味でも本当に深刻なのがストライカーの質。

ジルーは今夏マルセイユへの移籍がぼぼ決定的となっており、

ペレスに至ってはチームの選手として余り計算できない状況。

(CL戦ではポジティブな働きを見せ、今季ブレイクの可能性もあるが)

ウォルコットの1トップ起用は魅力的ながら継続性に欠け、

ウェルベックは膝の故障癖が完治せずコンディションが整わない。

シーズン30ゴールを期待できる人材が是が非でも欲しい。

ゴールへのプロセスはサンチェス、エジル、ラムジーと整うが、

フィニッシュを担う人材がアーセナル躍進を阻んでいると言っていい。

最高のパスが何本通ろうとも決めきれないのでは、

結果としてそのパスは何ら意味を成さないのだから。

試合はパスの質と本数で決まるわけではなく得点で左右される以上、

そろそろアーセナルないしヴェンゲルは本物のストライカーを獲るべきだ。

ムバッペ獲得に乗り出す話自体は好意的に思えるが現実的ではなく、

1億2000万ユーロとも言われる金額をモナコに渡す必要は皆無。

まずは心がロンドンから離れているジルーを高額で売り飛ばし、

欧州の舞台でも結果を出しているストライカーの獲得に乗り出そう。

タイトルの話はそれからだ。

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シーズン終盤で行った3バック導入は驚きだったが、

ヴェンゲルが合理的に状況を見つめた事で見出した活路なのは確か。

リーグタイトルを獲りたいのならば、

不利な時間帯を耐え切り、内容の悪い試合を勝つ強さが不可欠だ。

良い内容を以て勝利する事自体は”普通”の事であり、

いかに相手にしてやられようと勝ち点を溢してはいけない。

今季優勝したチェルシーも、昨季優勝したレスターもそうだ。

全ての試合で主導権を握ったわけでも、

常に相手よりも良いプレーを維持できた訳でもない。

少ないチャンスをモノにし、ギリギリの試合を勝利で収め、

たとえ試合へのアプローチに失敗しようとも、

結果を以てその選択を正解にしてしまう強さが必要なのだ。

ヴェンゲルは優れたビジネス手腕は持っているが、

稀代の戦略家でも屈指のモチベーターでも無い。

彼がすべきなのは、己が手腕で集めた選手達に

正しいプレー原則とシステムを準備し、文字通り歯車を回す事。

審判のジャッジに不服を申し立てる暇などない。

とにかく結果にこだわり続け、

「負けたが良い内容だったし、満足している」というコメントをしない事だ。

勝利以外価値は無い。

そう心の底からヴェンゲル自身が思い始めれば、

自ずと選手達にもそれは伝播するはずなのだから。

サンチェス自身そこが最も歯がゆく思っている点ではないだろうか。

「惨劇」と称されたバイエルン戦、

サンチェスは何度も単独でプレスをかけては躱され、

幾度となく「俺についてこい」と味方に前へ出るよう指示した。

あの姿を絶対に忘てはならない。

あの姿勢こそが、今のアーセナルにはないのだから。

まずはヴェンゲル自身、戦いに身を投じてみることだ。

であれば、来季のアーセナルの未来はそう暗くないだろう。

この記事を書いた人

Matthew Matthew

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