チェルシー 1
7′ ペドロ
バーンリー 1
24′ ブレイディ
現地時間12日、プレミアリーグ第25節が行われ、
首位チェルシーは12位バーンリーと対戦した。
会場となったバーンリー本拠地ターフ・ムーアは”要塞”とされ、
序盤の第2節ではリバプールを破る大金星。
今季バーンリーが挙げている9勝は全てターフ・ムーアで奪っており、
昇格組ながら12位に躍進するベースはこの本拠地にあると言っていい。
激しい雪交じりの雨に晒された要塞だったが、
小規模のスタジアムながら満員に埋まり雰囲気は抜群で、
「古き良き英国フットボール」を愛するサポーターの情熱は凄まじい。
この試合でも、決して拍手はゴールやスーパープレイだけではなく、
ひたすらに、がむしゃらに戦った選手には惜しみない称賛が送られた。
○開始直後、見事なカウンターでチェルシー先制
Pedro pic.twitter.com/RNYRVurioO
— Axel-SMITH (@FantaskickAxel) 2017年2月13日
試合が動いたのは僅か前半7分の出来事。
バーンリーは相手ボール時には堅く、密度の高いブロックを敷くが
被カウンター時の対応力には課題を残していた。
奪い取った瞬間に攻撃の選手全員が動き出すチェルシーは、
ここ数試合で更に切れ味を増しているカウンターで先制に成功した。
先制し、攻守のバランスを保ちながら試合をコントロールする____
試合巧者としての確かな立ち振る舞いがチェルシーの強みでもあるが、
しかしターフ・ムーアはそう簡単に屈しなかった。
○攻撃はサイド、守備は中央
先制されたとて、サポーターの声が途絶える事はない。
チーム全員が球際でのファイトを厭わず、
そのプレーに対してサポーターは惜しみない拍手を送る、
熱血漢ダイチ指揮官の下、
「闘争と献身」を信条とする彼らはこの日もとにかく戦っていた。
攻撃時のプレーパターンは乏しいものの、
マイボール時にはサイド経由でクロス、
カウンター時にはゴール方向へダイレクトな展開と統一。
チーム全体でプレービジョンと方向性が定められている為、
その威力はチェルシーといえどもチャンスをもたらした。
守備時には先述の通り最後まで体を張ってブロック。
今季目覚ましい活躍を見せるGKヒートンを中心に守備組織は堅実で、
中盤の底に入ったバートンがチーム全体に闘争心を注入、
厳しい局面に晒されても、チーム全員が献身的に駆け回った。
○少ないチャンスをモノにし、同点弾を突き刺す
Brady pic.twitter.com/c2xR5PMsxb
— Axel-SMITH (@FantaskickAxel) 2017年2月13日
見事。
素晴らしいコースでゴールに突き刺さった同点弾。
チェルシーがFKからゴールを奪われたのは実に4年振りだったが、
PA付近の危険な位置でファウルを犯してしまった要因には、
バーンリーの諦めないチャレンジが生み出した物に他ならない。
粗削りながらも、ゴールへダイレクトに進むプレーで強襲。
技術的には乏しい彼らだが、スピリットを以て行われるプレーは
実に効果的で、チェルシーのゴール前へ幾度となく進出した。
Courtois saves pic.twitter.com/CNHCHA5bS7
— Axel-SMITH (@FantaskickAxel) 2017年2月13日
36分にはロートンがGKクルトゥワと1対1の状況にまで持ち込む。
ただただ、ひたむきにプレーに情熱を注ぐバーンリーは素晴らしく、
2年前降格の悔しさをバネに昨季2部優勝、
今季こそ、と意気込む彼らには自信さえ感じ取れる。
敗北も決して少なくは無いが、
それでもどこか応援したくなる、そんなひたむきさが彼にはあった。
○後半に入ろうとバーンリーは情熱を注ぐ
GRAY shots pic.twitter.com/jK6klBxAOZ
— Axel-SMITH (@FantaskickAxel) 2017年2月13日
ハーフタイムを挟もうと、バーンリーから熱が去る事は無かった。
後半開始直後の47分にはグレイが抜け出しシュートも、
クルトゥワが冷静にセーブし事なきを得る。
今季のチェルシーの出来からすれば、
これほどまでにクルトゥワのセーブに助けられる試合は稀。
それも相手は昇格組のバーンリーなのだから、
如何にプレミアリーグがタフなのかの証明でもあるかもしれない。
バーンリーの熱いプレーに誘われる形で、
後半はインテンシティーの高い時間帯が続いていく。
”エンド・トゥ・エンド”の展開さえ数多く見られた試合は、
今季試合巧者の立ち振る舞いを示してきたチェルシーさえ巻き込む。
ボールロスト時のトランジションは両チーム抜群で、
バーンリーは前線からの激しいチェイシングで圧力を強めていく。
決して弱者としての戦いだけではない、
「勝ちに行く」姿勢をダイチ指揮官の下バーンリーは見せていた。
○コンテはシステム変更も効果は実らず引き分け
67分にはマティッチに代えセスク・ファブレガスを、
72分にはモーゼスに代えてウィリアンを投入。
そしてシステムを3-4-3から4-2-3-1へ変更する。
相手4バックに対し数的同数を宛がう事で相手を押込み、
コンテは中盤のリスクコントロールよりも創造性を重視していった。
が、試合終盤になろうとも体を投げ出す事も厭わないバーンリー。
チェルシーは攻撃のスイッチ自体は入ったものの、
要塞と化したバーンリーの牙城を崩す事はままならなかった。
87分にはペドロを下げバチュアイを投入して4-2-4へ。
引き分けでは満足しない、そんなコンテの表情だったが、
チェルシーに得点は生まれずそのまま試合は終了した。
○勝ち点1に留まるも、2位との差は広がる
バーンリー相手に白星を落とす事は確かに予想外だったが、
それでも2位トッテナムが前日に敗れていた為勝ち点差は10に。
試合展開からすれば、まさにクルトゥワに助けられた部分もあり、
失点を1に抑えられたのは明らかに彼のお蔭だ。
そう考えれば、難しい試合でも勝ち点を拾えた事は
ポジティヴに捉えるべきであろうし、そうする事が賢明だ。
コンテは試合後の会見で、
「難しい試合だったが、予想通りではあった。
バーンリーがホームとアウェイで全く別のチームになる事は知っていたし、
ホームでは彼らが今季28ポイントを奪っているのだから。
開始早々に先制できたのは良かった。が、FKからの失点には失望したよ。
難敵相手に試合終了までゴールに迫る事は出来たが…あと少しだったね。」
と語り、チームの出来にはある程度満足感を示した。
ともあれコンテの言うように、この日のバーンリーは素晴らしかった。
チェルシーが悪かった、というよりも彼らを称賛すべきだろう。
アザールはこの日もキレのあるプレーを示していたし、
ペドロはピッチ全体で顔を出しては試合に関与していた。
決して順位だけでは語れない難しさがプレミアにはあるのだ。
昨季は2部であったとか、そういった事は最早関係ないのかもしれない。
その試合に、全力を注いだチームが強いのだから。
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Matthew |