No one can touch him.
More special.
More creative.
But all for the team.
1991年にベルギーで生まれた次世代のファンタジスタは、
若くしてその才能を開花させる。
21歳にしてその才能を認められた逸材は、母国を離れイギリスへ。
国内リーグ、そしてCLの舞台をも制した強豪チェルシーに引き抜かれた。
移籍金670万ポンド、5年半契約という破格の条件だったが、
しかし期待とは裏腹に出場機会と結果に恵まれない日々が続く。
慣れない異国での生活、巡ってこないチャンス、指揮官との確執….
若くして多くの困難に直面するが、彼は立ち止まらなかった。
自ら出場機会を求め、国外へレンタル移籍。
新天地ドイツ、ブレーメンでは出場機会にも恵まれ結果を残す。
少しずつではあるが彼自身のキャリアを確立させていき、
時に「失格」の烙印さえ押した英国内の評判をねじ伏せた。
ブレーメンの翌年にはロンドンでの生活に見切りをつけ、
ドイツの強豪VfLヴォルフスブルクへと完全移籍。
そしてそこで、彼はその才能を完全に目覚めさせる。
誰もがまだ線の細い彼を薙ぎ倒そうと試み、かわされた。
力で寄せれば簡単に外され、寄せなければ決定的なチャンスを創造する。
強豪相手にも怯まず戦い、結果を残し、チームを導く。
まさに超新星の如くブンデスを席巻し、
2015-15シーズン、34試合10得点20アシスト。
ヴォルフスブルクの2位躍進と共に、リーグ年間最優秀選手の栄光を掴み取った。
誰もが彼の存在に驚き、認め、そして彼の姿勢に敬意を表した。
瞬く間に彼は次世代のワールドクラスの呼び声が高まり、
多くのビッグクラブがその触手を伸ばす。
そしてその中から選んだのは、かつて苦い経験をした、プレミアの地。
移籍金5500万ポンド(当時で約103億円)という超高額移籍。
確かな実績は僅か1シーズンと言っていいほどだった彼の価値を、
マンチェスターの新興クラブは「乱心」とさえ言われる高額に見定めた。
「彼にそこまでの価値はあるのか？」と各紙が大きく報道するが、
その声はシーズンの開始と共に瞬く間に消え去っていった。
そしていつしか彼らは言い始めた、
「安すぎたんじゃないか？」と。
公式戦41試合16ゴール14アシスト。
加入初年度ながらプレミアに完全にフィット、
途中2ヵ月の長期離脱を強いられながらも主力として責務を全うした。
高額年俸ながらも結果を出せない同僚を尻目に強烈なインパクトを残し、
しばしば相手指揮官には「アンタッチャブル」とさえ言わしめる。
超絶技巧を持ちながらも技術に溺れず、
確かなプレービジョンと正確性を継続して披露。
決して当たり負けしないフィジカルと走力をベースにピッチを駆け、
チャンスと見ればゴール前へ果敢に飛び込みゴールを強襲。
利他的、尚且つチームの為にハードワークを厭わないメンタリティ。
”選手はそうあってほしい”と願う才覚を彼はいくつも備え、
そのギフトに決して驕る事なく、ただ結果を追い求める。
そんな彼に敬意を示さない人がいるだろうか？
誰もが彼のプレーに興奮し、リスペクトから拍手を送った。
例えそれが、宿敵のライバルチームの本拠地だったとしても。
「彼の存在を心から有難く思う。本当に、特別な選手だ。」
就任して間もなく、稀代の名将グアルディオラは彼にそうコメントした。
技術とフィジカルの融合＿＿＿＿＿
試合で彼が消える事はほぼ皆無。
決してアタッキングサードでのみ輝きを放つような選手ではなく、
低い位置からのサイドチェンジ、ライン裏へのタッチダウンパス…。
プレーの選択肢は多岐にわたりアイディアも豊富。
ピッチのあらゆる所から違いを作り出す正に”創造主”たる振る舞いに、
時に相手は完璧なブロックを敷いてもなお守備組織を破壊される。
パスコースを防げば一瞬のギアチェンジで置き去りにされ、
彼へのパスコースを塞ごうと寄せれば巧みなスペースメイクの餌食となる。
そして躊躇いなくゴール前を強襲し、チームを勝利へ導く得点を狙う。
創造性と機動性を両立した次世代のファンタジスタは、
90分通してそのクオリティーを発揮し、決定的な場面を作り続ける。
決して自身のプレーだけに固執しない強さが彼にはあり、
それだけに相手は90分通してデ・ブライネと言う存在に頭を抱える。
彼失くして今のシティは語れず、そして彼のいない試合には、
彼の存在がいかに大きいものかを、改めて感じさせる。
稀代の名将の下、戦術的な才覚さえ見出された天才は、
今確実にワールドクラスへの道を歩み始めている。
これから幾多もの経験を糧に、彼は成長していくだろう。
数多もの名だたるDF達が彼の前に立ちはだかるだろうが、
その度に彼は挑戦し、乗り越え、また強くなっていく。
なぜなら今の彼があるのは決してその類稀な才能だけではなく、
常に自分を見つめ、自分の先を見据えた向上心があったからだ。
成長の為には環境さえも、国さえも越えて飛び立つ勇気を持っている。
その勇気が彼を羽ばたかせ、今へと繋がっている。
未だ彼は飛び立ったまま、羽根を休めようとはしていない。
一体どこまで飛んでいくのかなんて、誰にも分からない。
いつか彼が、”いつもの”シャイな笑みを浮かべながら、
バロンドールのトロフィーにキスをする場面を見届けたいね。
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Matthew |
