今季のチェルシーはタイトル争いとは程遠く、
来季は欧州最高の舞台からも姿を消しそうだ。
プレミアリーグ第32節を消化した時点で勝ち点57。
3位、同勝ち点で4位につけるリバプールとトッテナムとは
10ポイントの差を開けられてしまっている。
リバプールは1試合消化が多い為チャンスはまだあるかもしれないが、
14位に沈むウエスト・ハム相手に引き分けてしまうチェルシーに
大きな期待を寄せる事は難しいようにも思えてしまう。
想い届かず、無念の引き分け
宿敵スパーズに逆転負けを許し、
CL出場権の獲得すら黄色信号が灯っていたチェルシー。
それだけに、ホームでのウエスト・ハム戦は勝利が絶対条件であった。
幸先よく先制し、ゲームもコントロールある程度できていたのだが…
オフサイドの判定にモラタが泣き追加点は奪えず。
一瞬の隙をチチャリートに突かれ、勝ち点を分けあってしまった。
再三チャンスを作っていたのは紛れもなくチェルシーであり、
決定機も迎えていただけに何とも残念な結果だ。
アザールとウィリアンは相変わらずコンディションの良さを見せつけ
違いを生み出し続けていたものの…
アスピリクエタの久しぶりの得点はチームに良い雰囲気をもたらしたが、
試合を終えた選手達の表情は未だ暗いままだ。
決定力に泣く
チェルシー苦戦の理由は単純明快で、
どれだけ素晴らしいチャンスを作り上げたとしても点が奪えない事にある。
シーズン序盤は得点をコンスタントに重ねたモラタも
負傷やコンディション調整に苦しみ鳴りを潜めてしまった。
冬にライバルのアーセナルから新加入したジルーも、
期待された決定力は少しも発揮できないまま、シーズンを終えようとしている。
現状チャンスメイクとフィニッシュをアザールやウィリアンら
2列目に頼らざるを得ない状況が、何よりチェルシー苦戦の要因だろう。
足枷となっている中盤の強度不足
昨季プレミアを制したチェルシーの中盤は盤石だった。
マティッチとカンテのコンビは抜群の運動量と強靭なコンタクトを誇り、
足元の技術も備わっていた事からどのような相手でも中盤を支配できた。
しかし、新鋭バカヨコの加入によりマティッチが去った事が状況を変える。
ここまでのバカヨコの活躍は決して満足いくものではなく、
むしろカンテの負担を増加させただけである事は間違いない。
バカヨコの代役として出場を重ねるセスクも、
既に往年の輝きは失われつつある事は明白だ。
足元の技術に錆付きは感じられないものの、
そもそもチェルシーのボランチに求められる「絶対的強度」が不足している。
単独でカバーできるエリアは限られており、
90分広大なピッチを動き回るだけのダイナミズムは彼の持ち味ではない。
限定的な起用であれば抜群の存在感を放つ彼ではあるものの、
継続的な起用では、中盤を効果的に支配することは難しい。
来夏補強のポイントとして、ボランチは重要度の高いポジションと言える。
望むべくは、闘将
熱き魂を体現してきたコンテは、既にその最大の魅力を失っている。
テクニカルエリアで激を飛ばす彼から感じ取れるエネルギーは限られており、
その輝きは今季時間の経過と共に減少してしまった。
戦術的コンセプトの浸透に関しては何ら問題はなく、
攻撃のチャンスやタイトな守備戦術に関して懸念はない。
しかし、チームの原動力となるモチベーションが無い以上、
来季以降もコンテが指揮を執る可能性は限りなく低い。
補強すべきポジションは少なくなく、主力引き抜きの噂も絶えないが
既にチェルシーのフロントは次期監督の模索に奔走している事だろう。
チームに闘志を取り戻させてくれるような指揮官が理想的だ。
今季でアトレティコを退団する事が決定しているシメオネが適任か。
(堅実な守備と戦術的フィロソフィーはチェルシーに合うはず)
ともあれ、コンテがチェルシーの指揮官である時間は、終わりに近づいている。
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Matthew |