プレミアリーグ2位。
リーグで最もスタメン平均年齢が若く、
他のライバルらに比べればクラブ規模も敵わない。
由緒正しい歴史あるトッテナム・ホットスパーの健闘は讃えられるべきだが、
彼ら自身はそんな声に耳を貸そうとはしないだろう。
彼らが望むものはタイトルであり、プレミアリーグの頂点なのだから。
タイトル奪取が至上命題であるチームにしては静かな夏を過ごした。
鎬を削るライバルクラブたちが続々と資金を投入し補強する中、
トッテナムは新スタジアム設営に伴う資金繰りが求められている。
莫大な放映権料からくる利益は大きいはずだが、
他のクラブとは台所事情が違うだけに派手に移籍市場は動けない。
サラリーキャップを設けるクラブ方針もあり選手からの反発も少なくないが、
それでも主力の大半を残留させ、余剰戦力を売却したフロントの手腕は評価されるべき。
サンチェス、ジョレンテ、オーリエと手薄なポジションに即戦力を迎え、
質・量ともにプレミアでも屈指の戦力を揃えている。
大型補強が出来ない以上チームは継続路線を取らざるを得ないが、
そもそも劇的な変化をトッテナムは必要としていない。
ポチェッティーノが目指したハイテンポなプレスとアタックは
既に十分な内容と実績を伴ってスパーズの隅々にまで浸透しているのだ。
今季トッテナムに必要とされるのは、
いかに戦い方を継続してタイトルに挑戦するか。その一点だろう。
最早欧州屈指の創造主となったエリクセンを中心に、
機動力と決定力に優れたチームの攻撃は素晴らしい質を提供している。
今や引く手数多のワールドクラス候補生となったデレ・アリを始め、
イングランド最高のストライカーを体現しつつあるケインらは
シーズンを重ねるごとにその連動性と芸術性を伸ばし続けてきた。
今季のスパーズの主役は彼らが担う事になるだろうが、
昨季はCLで散々な出来に終わった事を彼ら自身悔やんでおり、
雪辱を果たすためにも今季は高いモチベーションを発揮するはずだ。
2年連続で得点王となったケインであっても、
「チームでタイトルを取れていない。まだ何も成し遂げていない」と語るように、
彼らはまだ、挑戦者であるのだから。
プレミアリーグで安定して結果を出し続けられる地力は既に備わっている。
トッテナムがリーグ優勝を果たす上で必要なのは、
どれだけビッグゲームを制してポイントを稼ぐかにあるだろう。
格下相手にとりこぼすような事態は考えにくいうえ、
そもそもそんなチームが頂点に立てる程今のプレミアリーグは甘くない。
タイトルを狙うライバルチームとの対戦でどれだけ実力を発揮し、
苦しいシーソーゲームをモノにできるかがチームを左右するはず。
若いチームだからこそ、波に乗った時の強さは目を見張るものがあり
(反面、躓いた時の立て直しには苦労する側面もあるが)、
伸び白が大きいのもトッテナムの大きな特徴でもある。
稀代の戦術家であり育成の名手、ポチェッティーノがどうシーズンを戦うのか、
その一挙手一投足に目が離せない。
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Matthew |