今夏モハメド・サラーを獲得した事で、
リバプールはリーグ最速の両翼を手に入れた。
コウチーニョも残留し、攻撃に関しては申し分ない陣容となった。
しかし、昨季も課題となったDFラインに関しては
左サイドに新鋭ロバートソンを加えたのみに留まっている。
最高の攻撃力を備えているが、守備に関し得は課題が山積みだ。
マティプという守備の柱こそいるものの、
相棒となるロヴレンとクラバンの質には常に疑問が付き纏う。
ロヴレンは致命的な判断ミスやプレーの悪癖が抜けず、
クラバンも実力者ではあるがタイトルをもたらすほどの
絶対的なクオリティーを備えているわけではない。
チーム最後尾を支えるGKミニョレとカリウスに関しても、
タイトルを争うライバルの守護神らと比べれば、実力不足は否めない。
どんな相手だろうと得点を奪えるだけの攻撃力はある。
しかし、あまりにも杜撰な失点を重ねてしまえば、
結局は優勝トロフィーを掲げずに終える「いつもの」シーズンになるだろう。
「信じる事が人生なんだ」
あまりにも勿体ない失点を重ねるチームに批判の声が集まる中、
クロップは選手達に関して記者会見でこう答えている。
「CBに新戦力を獲得すべきでなかったのか」
「セットプレー守備時のゾーンマークをやめるべきでは?」
カーリングカップ3回戦でレスター相手に0-2で敗れた事もあり、
リバプール守備陣に対する評価は決してポジティブではない。
クロップはレスターとの試合について若さがリスクを招いた事、
またセカンドボールへの反応の低さなどを明らかにしたものの、
選手への信頼に関しては一切問題ないと話した。
今の選手達を心から信じ、活躍を願っているのだ。
来年1月まで新戦力の確保ができない以上、
現有戦力でシーズン前半戦を戦っていかざるを得ない。
マティプはもはやクラブにとって代えの利かない選手の1人である以上、
相棒を誰に組ませるか、そして守備時のチーム戦術が大きく関わってくる。
相棒としてのファーストチョイスはロヴレンであるだろうが、
まずは彼に落ち着きをもたらし、激情に左右されない
安定感を身に着けてもらう必要がある。
(アツさのないロヴレンはロヴレンと言えるのかわからないが)
CBの脇を固めるサイドバックに関しては、左右で状況が異なる。
右サイドに関しては充実のセクションともいえ、
クライン、ゴメス、アーノルドが素晴らしい競争力を発揮している。
問題は左サイドで、今季先発を勝ち取っているモレノは依然不安定。
新加入のロバートソンもビッグクラブで戦えるだけの状態ではなく、
実力を完全に発揮するには今しばらく時間が必要だろう。
正直言えばモレノの役割はロバートソンがフィットするまでの
時間稼ぎにしかならざるを得ず、マネの背中を支えるには厳しい状態だ。
そして、リバプールの失点のリスクを軽減させるうえで
重要なのは最終ラインではなく中盤におけるクオリティーだろう。
ゲーゲンプレスを採用している以上、
どれだけ高い位置でボールを奪い、試合の主導権を握れるかが重要となる。
防戦一方になった場合の強度は保障できない以上、
リバプールにとって必要なのは常にアグレッシブさを失わない事。
中盤を相手に制圧された状態では、厳しい試合展開を受け入れなければならない。
しかし、リバプールの中盤を構成するメンバーには
守備に長けたアンカータイプは在籍していない。
豊富な運動量と確かな技術を備えるヘンダーソンはアンカーの一番手だが、
元々守備においてクオリティーを発揮する選手ではない。
ジャン、ワイナルドゥム、ララーナ、コウチーニョなどが
インテリオールとして今季選ばれるだろう人材達だが、
ヘンダーソンの代役を務められるだけの強度を誇れるのはジャン程度のみ。
新加入のチェンバレンも中盤起用が濃厚だが、
そもそも彼はサイドアタッカーが本職の天才肌。
ララーナやマネの代役と捉える方が計算が立つ。
仮にヘンダーソン、ジャンを欠くような事態になってしまえば、
中盤におけるインテンシティーと強度は最早修正不可能。
冬のマーケットでは、ワニャマのようなタイプを理想像とし、
中盤で強固なプロテクトを保障してくれる選手の獲得を期待したい。
本気でリバプールがタイトルを狙うのであれば、
失点数の減少は避けられない課題だ。
ミニョレとカリウスが鎬を削り切磋琢磨する状況であれば、
未だ若手で伸び白のあるカリウスが台頭し状況が変わる可能性もある。
が、現実的にはまずロヴレンとマティプの連携を習熟させ、
左サイドのロバートソンをいち早くチームにフィットさせる事が重要。
クロップ監督が今後をどう捉えているのかはわからないが、
少なくとも現状のままでは、リーグ優勝とCL上位進出は有り得ない。
![]() |
Matthew |