栄光の日々が遠い過去のように感じる_____
そう思っていたユナイテッドのサポーターは多くいた事だろう。
しかし、彼らはやってのけた。
さぁ、反撃の狼煙を上げよう。
未だ獲得してなかった、栄光のカップを片手に。
確かに試合の主導権自体を握ったのはアヤックスだ。
しかしそれもプラン通り、と言わんばかりの戦いだった。
堅守速攻を徹底し、高い集中力を発揮したユナイテッドは
若さ故か固さが目立つオランダの名門を実に老獪にいなした。
イブラヒモビッチ欠場を感じさせない程、
全ての選手がタイトル奪取のために全力でプレーしていた。
今季失望させる事のほうが多かったフェライニは効果的に躍動し、
中盤を制圧するのに大きな役割を果たした。
フィットネスが整わずリーグを不完全燃焼で終えたスモーリングも
終了の笛が鳴る最後の瞬間まで声と体を張り、ゴール前をプロテクト。
まさに総力戦であり、
モウリーニョは全ての選手を最高のモチベーションに導いていた。
待ちに待ったタイトルと言っていいだろう。
国内タイトルこそ不本意な形で終えてしまったものの、
これでEL王者として来季CLにストレートイン。
更には「欠けていた最後のピース」とさえ言われた
ヨーロッパリーグのタイトルを携え、
来季新たな船旅を始める事ができるのだ。
今季、公式戦64試合という途方もない過密日程を戦った。
大型補強を敢行したとはいえ、
全ての選手が即時フィットしたわけでも、
フルシーズン活躍できたわけでもない。
シーズン前のEURO、
最も過密なクリスマス明けにはアフリカネーションズ杯。
選手のコンディションを維持するのは不可能に近く、
木曜、金曜にELを戦い、週末にリーグをこなす日々。
リーグ優勝を早々に見切りをつけたモウリーニョの選択は
現実的なプランであり、最も理に適っていた。
むしろそうしなければ、今季チームは何も得られなかったはずだ。
タイトルを奪取した事で得られたのは決して安堵だけではない。
今季ユナイテッドは堅固な守備をベースに戦い抜き、
相手にペースを握られようとしぶとく勝利を手繰り寄せてきた。
落とした試合も確かにあったが、
半ば強制的にターンオーバーを強いられていたのだから、
無様な敗戦ばかりを繰り返さなかった点は称賛に値する。
特にモウリーニョがもたらした堅固な守備ブロック、
チェルシー戦で見せたような柔軟なシステム変更が可能となった。
綿密なスカウティングを基に相手の良さを消し、
数回のチャンスでリードを奪い取る強かさを取り戻している。
内容が悪かろうと白星をもぎ取るのは
かつてのファーガソン政権の十八番ともいえる強さであり、
モイーズ、V.ハールらが失わせてしまったモノ。
過密なスケジュール故に経験の乏しい若手も起用せざるを得なかったが、
逆に未来あるアカデミーの選手に貴重な実戦経験を積ませられた。
その点でも、今季の収穫は非常に大きいと言えるだろう。
戦う準備は整った。
新たなユナイテッドの歴史を紡ぐ時だ。
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Matthew |