チェルシー 5
5′ アザール
19′ アザール
42′ D.コスタ
56′ アザール
65′ ペドロ
エヴァートン 0
現地時間6日、スタンフォード・ブリッジにて
プレミア第11節チェルシー対エヴァートンが行われた。
チェルシーは3バック導入から好調を維持し4連勝中。
対するエヴァートンも首位シティに引き分けるなど、
失点数リーグベスト2位の堅守を武器に結果を残している。
この日もチェルシーは機能性を見せ始めている3バックを採用。
そして驚いたのが、エヴァートンの指揮官、策士クーマンも
3バックないし5バックを採用し、チェルシーと布陣を合わせてきた。
チェルシーの攻撃を堅く守りつつ、ルカクとボラシのカウンターで仕留める…
クーマンは強かに試合を決めに行ったものの、目論見は大きく外れてしまう。
序盤から主導権を握ったのはホームのチェルシー。
エヴァートンも重心を低く保ち、
ウィリアムス、ジャギエルカ、フネス・モリの3CBが体を張る。
しかし、この日も絶好調のアザール、ペドロを掴みきれず、
フリーで前を向かれてはチャンスを創造されてしまう。
中央の狭いスペースでボールを繋いでは、サイドのWBへ展開。
「広げては、狭く。狭くしては、広く。」と
ピッチのスペースを自在に活用したチェルシーは、効果的に揺さぶった。
防戦一方、ギリギリの守備が続くトフィーズ。
そしてそんな守備陣に一撃を打ち込んだのが、アザールだった。
左サイドのカットインからファーサイドへのシュート。
得意な形に持ち込み決めきったアザールは、4試合連続のゴールを奪った。
クーマンはしきりに声を上げ、「ここからだ」と叫ぶ。
浮足立つエヴァートンDF。
その隙を見逃す程、この日のチェルシーは甘くはなかった。
先制からわずか1分。
アザールの絶妙なパスから抜け出したペドロが折り返し、
逆サイドから走り込んだM.アロンソがGK股下を抜く追加点。
落ち着く暇すら与えてもらえなかったエヴァートンは、
ただただ頭を抱えるしかなかった。
いつもなら仲間を大声で鼓舞するウィリアムズさえ、
茫然自失の表情で天を見上げるばかり。
試合は、完全にチェルシーのものとなってしまった。
リードを奪おうが、コンテは決して手を抜かない。
5-4-1の堅いブロックを敷き、自陣のスペースを徹底的に消すーーー
エヴァートンはボールを持てど、ブロックの外で回すだけ。
サイドを行き来するだけのパスワークはリズムを生み出すどころか、
閉塞感ばかりがエヴァートンの選手達を包み込んだ。
そしてそんなパスが続いてしまえば、
瞬時の読みでマティッチとカンテが潰しにかかる。
”どう攻めていいのかわからない”
エヴァートンは、フィニッシュの形さえ忘れてしまったのように、
ただ視界に入った味方へボールを渡すだけの攻撃に終始した。
42分にはD.コスタがCKから3点目。
ニアサイドのマティッチが逸らし、ファーのコスタが決める、
今季何度も見せてきた得意の形で追加点を奪った。
攻守で理想的なプランを貫いたチェルシーが、完璧な結果で前半を終えた。
なんとか流れを掴んで1点を返したいエヴァートン。
だが、大量リードで選手達の気を緩ませるほど、
コンテは甘い指揮官ではなかった。
後半に入ろうとアグレッシブさを全面に押し出し圧倒。
完全に推進力を奪われたエヴァートンに、
もはやアザールは止められなかった。
56分、ペドロとのワンツーで右サイドを駆け抜けたアザールは
そのままゴール前へとカットイン。
息を呑むようなステップワークに翻弄されたウィリアムズを尻目に、
左足でゴール右隅へとシュートを突き刺した。
速く、巧く、冷酷なまでに美しい彼の姿に、スタジアムは歓喜した。
エヴァートンは完全に気力を失い、戦い方すらままならない。
マイボールだろうとオフ・ザ・ボールで動き出す選手は皆無で、
誰もが味方のアクションを静かに見守っていた。
逆サイドへ振ろうとも準備すらしていない有様で、
チャンスを作ろうと中央へ強引に行こうとも、
マティッチとカンテがそれを許す訳がない。
追い込まれるようにボールを失い、プレスをしても
見事なパスワークでかわされては消耗し続ける。
65分にはアザールがシュートを放ち、GKステケレンブルフがは弾いた
こぼれ球をペドロが押し込んで5点目。
この日攻守で精力的に動いていたペドロ。
1点目のアザールのシュートも絶妙な動き出しで
GKのブラインドとなるなど貢献。
そんな彼の献身が報われた、喜ばしい瞬間だった。
そのまま集中を切らさず試合を締めくくったブルーズ。
ボールを持とうと持たれようと盤石の試合を行った。
最後まで素晴らしい戦いを見せ勝ち点3を奪い、
首位奪取に向け大きな1勝を上げた。
(リバプールが勝利したため、単独2位に浮上)
コンテは強かな、熱い男だ。
かけられた時間と責任は余りに大きかったが、
宿敵アーセナルとの大敗にもめげず、チームを立て直した。
3バック導入してからは5戦5勝、16得点無失点。
まさに圧倒的な結果を残し、限界説さえ払拭して見せた。
リーグ2位の堅守に対して完璧な試合を演じ、
何より5試合連続でクリーンシートを達成できたのは大きい。
かつての強み、「堅守」を取り戻したチームは安定感が増し、
また時間をかけてシステムを習熟させる事でポジショニングも修正。
この日のパスワークは非常に効果的で、
相手に寄せられても落ち着いてフリーの味方へ届け続けた。
シーズンが始まってすぐだが、最高と言える試合だったはずだ。
苦戦が予想されるエヴァートン相手にやってのけた事実は大きく、
代表ウィークで2週間日程が空くことが残念で仕方がない。
今のチェルシーは、間違いなく最高だ。
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Matthew |