チームは苦境に立たされている。
上位進出が目されながらも期待とは程遠い試合を演じ、
10節を終えてリーグ順位は降格圏スレスレの17位。
降格圏までは3ポイントと残念極まりない状況のウエスト・ハムは、
このまま厳しい状況が続いてしまうのだろうか。
リーグでの成績は3勝1分6敗の10ポイント。
10得点19失点の内容を考えても、大きく期待を裏切ってしまっている。
選手の顔触れをみればどう考えてもあり得ない成績で、
昨季ブレイクしたパイェを始め、
昨シーズンの躍進を支えた俊英達のほとんどが残留している。
それでも難しい試合が続く原因は単純で、
「コンディション不足」と「負傷」だ。
今季と昨季の違いは、EUROの存在。
パイェはトップフォームとは程遠い状態でチームに復帰するなど、
チームの主力はそのほとんどが疲労困憊だった。
各地域でのW杯予選が本格化した事もあり、
リーグ戦が開始と共にコンディションを上げても
代表に帯同してはまた疲労が蓄積された状態で帰ってくる。
経験と実績、実力を備えた選手が数多くいるからこその悩みで、
ビリッチ監督は非常に歯がゆい思いをしているはずだ。
また今夏獲得した選手が軒並みプレミアの水に馴染めず、
フェグーリ、トレ、ザザ…どれもが結果を残せていない。
既存戦力は満身創痍で、新戦力は期待外れ。
これでは、本来のチームの姿は見られない。
負傷選手の多さもいただけない。
期待された新戦力アイェウは開幕早々の長期離脱。
エースのパイェも軽い故障を繰り返しコンディションは取り戻せず。
(それでも最も結果を出しているのは彼)
本格的なブレイクを迎え代表も期待されるクレスウェルは、
最早彼自身が試合、ボールの感覚を失ってしまっている。
先述の新戦力の期待外れも相まって、
ウエスト・ハムは安定した戦いぶりをできていない。
1試合1試合を手探りで進むような、危うさが感じられるのだ。
とはいえ、時間が経過しつつある中で
チームが再建しつつある兆候も見え始めている。
堅いブロックと素早いカウンター。
シンプルながらも手堅い戦い方にシフトし、
がむしゃらに結果を追い始めたのだ。
EFLカップ4回戦ではチェルシー相手の
ロンドン・ダービーで2-1と接戦勝利。
”負け戦”とさえ揶揄された試合を制しベスト8に進出した事で、
チームには明らかに勢いがつき始めている。
またフロントもビリッチ指揮官への信頼を度々口にしているし、
チーム全体がポジティヴな雰囲気に包まれようとしている。
依然として状況は厳しいものの、
だからこそ「出来る事をやる」という徹底した戦う姿勢が取れる。
リーグは既に1/4が消化したが、
それでも巻き返す時間は十分にある。
むしろ、この苦境を乗り越えたチームは、
どこにも負けない強さが備わっているかもしれない。
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Matthew |