レスター 3
42′ ムサ
63′ 岡崎慎司
80′ フクス
クリスタル・パレス 1
85′ キャバイエ
現地時間23日、プレミアリーグ第9節、
レスターvsクリスタル・パレスの一戦が行われた。
昨季優勝のレスターは今季が苦戦が続き、13位。
特にアウェイでは全敗を喫しており、
CLではグループステージ3連勝を飾っているものの、
対戦相手の研究もあってか厳しい状況が続いている。
対するパレスはパーデュー監督の下堅実な戦いを見せ、
今季9位と好位置につける。
今夏にはタウンゼント、ベンテケを補強するなど本腰を入れており、
今季注目チームの1つだ。
レスターはヴァーディがケガの影響もありベンチスタート。
代わりに岡崎とスリマニの2トップが起用された。
この起用が功を奏し、岡崎は持ち前の運動量で中盤を助け、
密集地帯でボールを受けては効果的にパスを供給。
スリマニは前線で体を張り、単独で起点となるなどパレスを苦しめた。
前半開始2分にはパレスGKマンダンダのパスミスを奪った岡崎に
ビッグチャンスが訪れるも、シュートは枠外へ。
立ち上がりの流れはレスターにあった。
始まって早々失点の危機を迎えたパレスだが、
流れがなくても”個”で打開できるのが今のパレス。
12分にはベンテケがクロスバー直撃のヘディングを見せるなど、
瞬間的な強さで得点を奪える事を示した。
特に対人戦・空中戦に長けたフート&モーガンのレスター両CBが、
ベンテケ相手には正直太刀打ちできていなかった。
ボールを奪う事も、空中戦で勝る事も出来ず、
数的有利を用いて対応する他ないような状態だった。
その後はお互いボールを持てても、チャンスは個人頼み。
岡崎もスリマニと中盤を結ぶリンクマンとして躍動するも、
決定的なチャンスに絡む事は少ない。
そんな膠着状態を打ち破ったのが42分のムサで、
スリマニ、岡崎の2トップが粘り強く繋いだボールを振り抜き先制。
2人のFWが体を張って繋ぎとめたチャンスを決め、
ホームのレスターが幸先よく先制した。
後半に入る直前に得点したレスターは良い雰囲気で前半を終える。
後半に入り、レスターはより慎重にブロックを敷いた。
選手間をコンパクトに、かつ強いプレスを敢行。
前線から激しくチェイシングする岡崎の存在もあり、
パレスは高い位置でゲームを作る事が出来ない。
レスターは失点のリスクを抑えると共に、
お家芸のカウンタースタイルへと移行した。
前線のスリマニが懐の深いボールキープを行う事でチームを助け、
マイボールになれば岡崎がリンクマンとして動く。
基準点を岡崎としてパスが動くシステムは、
昨季にはあまり見られなかったこの試合の大きな見どころだった。
(昨季ボールロストを繰り返していた岡崎だったが、
今季は繋ぎがより丁寧で精確。信頼を得たいい証拠だろう。)
63分には、この試合で最も走り、
最もチームに貢献していた岡崎に歓喜の瞬間が訪れた。
クロスボールのこぼれ球に誰よりも早く反応した岡崎。
ダイレクトに打ったシュートはゴール左隅に決まり、
チームが心の底から欲しがっていた追加点を奪って見せた。
今季リーグ初ゴールとなった岡崎。
攻撃の組み立てに参加し、ゴール前までスプリントし続けた岡崎。
その弛まぬ努力と献身が報われた瞬間だった。
ゴールの瞬間サポーターは皆立ち上がり、
チームメイトは誰もが笑顔で岡崎に駆け寄った。
79分にはCKのクリアボールを拾ったフクスが
見事なミドルを突き刺し3-0。
今季、どことなく覇気が見えなかったチームは活気を取り戻した。
泥臭く勝つ、昨季のレスターを象徴するプレーが見られ、
球際でのエネルギーはパレスを遥かに上回っていた。
残念ながら85分に左サイドを突破され失点してしまうも、
そのまま試合は終了し3-1の快勝。
岡崎はフル出場と躍動し、チームに最後まで貢献。
13位と不甲斐ない姿を見せてしまっていたサポーターに、
清々しい勝利を届ける事が出来た。
主役はスリマニでもマフレズでも、ベンテケでもなく岡崎だった。
レスターの攻撃、特に組み立てにおける岡崎の役割は的確で、
密集地帯でボールを呼び込んではシンプルにパスを繰り返す。
攻撃にリズムをもたらし、狭いエリアを突破する起点となった。
守備時には相変わらず広大なエリアを単独でプレス。
厳しい局面では深い位置に下がって守備に加わり、
キングとドリンクウォーターの両ボランチを助け続けた。
その貢献度はスタッツを見ても明らかで、
走行距離11.66km、スプリント回数73は両チームダントツ。
誰よりも走り、誰よりも勝利への渇望を示した岡崎は
試合後の各紙でMOMに選出。
(テレグラフ紙に至っては岡崎について、
”ラニエリはレスターに勢いをもたらす最適な答えを得たはず”とさえ)
この試合に勝利をもたらしたのは、間違いなく岡崎だった。
岡崎の状況は難しいものだった。
昨季よりもチームの試合数が増えているにも関わらず、
出場機会は減っていく一方。
限られた時間の中でも結果を残しても、
チームを取り巻く雰囲気と状況は悪くなる一方だった。
努力は報われるのだ。
岡崎はこの試合、誰よりもひたむきで、泥臭かった。
華麗なプレーよりも、チームの為になるプレーを選択し、
「当たり前の事」を最初から最後まで徹底してやり続けた。
奇しくもそれは、昨季レスターが優勝した大きな原動力。
昨季のレスターとの違いは、カンテの不在でも、
ヴァーディの不調でもないのかもしれない。
レスターにとって大事な「何か」を、岡崎は取り戻させてくれるはずだ。
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Matthew |