確かに、勝たなくて良い試合なんてものは存在しない。
勝利こそ、結果こそが全てであり、
結果なくして成功は成し遂げられない。
ユナイテッドは好調リバプールに対して0-0のドロー。
勝利を挙げられなかったものの、
この試合におけるユナイテッド、ひいてはモウリーニョは
狙い通りの試合をしてみせたのではないだろうか。
”負けなかった”
この事実が重要であり、この試合で得た最大の成果のはずだ。
この試合、ユナイテッドは従来以上に
チームの重心を低く、中央エリアの選手の距離をコンパクトに保った。
ネガティブな言い方をすれば、
「勝ちに行く事よりも、負けない事を重視した」と言えるだろう。
しかしここ数シーズンのユナイテッドといえば、
誇りをかけてか無謀に勝ちに行き、
重要な試合を落としては「没落」の烙印を押されてきた。
名門ゆえのしぶとさを、強かさを失っていた。
だがリバプール戦、ユナイテッドはギリギリの状況ながら耐え抜き、
その上で局面を打開してはチャンスを作り上げていった。
泥臭く戦い、勝ちを狙いに行く姿勢はV.ハール前監督の下失った、
勝利への渇望、メンタリティーだ。
傷だらけになりながらも戦う事の重要性を
モウリーニョは知っている。
（そうしなければ勝てないリーグだという事も）
モウリーニョが就任した事で植え付けられた勝利への姿勢。
それはユナイテッドに最も必要とされていた物だ。
確かに、楽観視できる内容ではない。
序盤はプラン通りに事が進んだが、
クロップが修正に動いてからは主導権は完全にリバプール。
ユナイテッドの攻撃の芽はほとんど潰された。
個人のクオリティーに依存した攻撃はハマれば強いが、
上手に対応されてしまえば余りに脆い。
後半はまさに満身創痍。
しかしそれはリバプールも同じで、
試合開始直後からリバプールの攻撃すべてに関与した
コウチーニョ、フィルミーノが相次いで足を攣らせたのは偶然ではない。
兎にも角にも、ユナイテッドは苦しい試合を耐え抜いたのだ。
モウリーニョはユナイテッドの守備をオーガナイズし、
”負けない”というスピリットをチームにもたらそうとしている。
シンプルな話、
勝ち点をこぼさないチームほど順位は良くなるのだ。
その為の第一歩がまず守備の改善であり、
少しでも勝ち点を失わずに戦えるチームを構築する事が重要。
それを踏まえればユナイテッドは正にその途中であり、
選手同士の連携が深まるシーズン後半には、
アタックにおける約束事も整理され、組織化されているはずだ。
モウリーニョは確かな仕事をしている、と言える試合だった。
モウリーニョは落胆しているだろうか？
ビッグゲームで勝てなかった。結果を得られなかった、と。
ノー。そうではないだろう。
むしろチームには「リバプールだろうと負けない」という
自信達への自信を得たはずで、
モウリーニョのプラン通りに事が運んだ前半が記憶に残っただろう。
守備におけるアクション、戦い方が整備され始めた今、
ユナイテッドは次のステージへと歩みを進めるかもしれない。
ポテンシャルに溢れた選手達が織り成す組織的な攻撃。
個人と組織のクオリティー両面に長けた最高のチーム。
その一歩を、ユナイテッドは着実に進んでいる。
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Matthew |
