トッテナム 2
9′ OG
37′ デレ・アリ
マンチェスター・シティ 0
現地時間2日、プレミアリーグ首位と2位が激突した。
お互い今季リーグで好調を維持し、リーグ無敗。
特にトッテナムはリーグ戦6試合で3失点と堅守を保持。
昨季、躍進の原動力となった守備組織は抜群の安定感を誇っている。
対する首位シティは今季絶対的な輝きを放っていたデ・ブライネが負傷。
ハムストリングを痛め3週間の離脱を余儀なくされるなど、
チーム事情が良くない状況に傾きつつある。
先日のCLでは格下セルティック相手に敵地でドロー。
内容も良くはなかっただけに、首位とはいえ油断できない状況だった。
先制したのはホームのトッテナム。
試合開始早々から高い位置でのハイプレスを敢行し、
首位相手といえど”スタイル”を貫き通した。
攻守におけるインテンシティーの高さを見せ、
常にシティの中盤でのビルドアップにプレッシャーをかけた。
そしてシティが対応や判断に追われる中、
幸運にも先制点をもぎとったのはホームのトッテナムだった。
左サイド、ローズが上げたクロスはファーサイドのシティDFコラロフへ。
背後方向へスプリントをしながらの処理だった為か、
ボールに対する判断を誤り、不運にもクリアボールは自陣ゴール隅へ。
試合における背景を踏まえれば、あまりにも不運な得点だった。
ラッキーな形で得点したトッテナムは更に攻勢をかけ、
油断することなくハイプレスを躊躇いなく行い、
奪取後はエリクセンらを中心にショートカウンターを効果的に行った。
今季カウンターも強みにしているシティだったが、
スパーズの強いプレッシングに圧倒されボールを前へ運べない。
パス自体は繋げるものの、そのほとんどがプレスから逃げるパスであり、
ゴールに向かうためのクリエイティブなパスは見られなかった。
(またチームを前へ向かせられる選手はシルバのみ。それではあまりに..)
とはいえシティもチャンス自体は作る事ができた。
好調のアグエロ、スターリングらを中心にスパーズの守備網を掻い潜る。
彼らが起点となってチャンス自体は生まれたものの、
最後の最後まで集中を切らさないスパーズDF陣から得点は奪えなかった。
首位らしからぬ拙さをみせるシティに対し、
スパーズは決して手を緩めなかった。
37分には見事なショートカウンターからデレ・アリが追加点。
昨季スパーズが時折見せた「緩み」は見られず、
今季の好調を象徴するように、選手1人1人の集中力は高かった。
前半を2点のリードで終えたスパーズに、慢心はなかった。
ペップはこの試合、終始不安げな表情を見せた。
そしてそんな表情が示すように、シティの選手に自信は感じられなかった。
シティの中盤はトッテナムのパスワークも止められず、
また攻撃時のビルドアップ時にもプレスに圧倒されてしまった。
シティとトッテナムの中盤における違いは、
偏に”球際の強度”と言っても良いだろう。
シティは寄せるものの、取りきれない展開が続く。
しかしトッテナムの中盤は寄せきるのだ。
ボディコンタクトを厭わず、”潰す”と決めたら潰しきる。
攻撃時にはテンポとスピードに特化したパスを展開し、
ファイナルサードではエリクセン、ラメラ、アリが創造性を発揮。
攻守に高いインテンシティーを実現させたスパーズは、ただただ、強い。
ハーフタイムを挟んでも、トッテナムはエネルギーに溢れていた。
後半開始早々から、前半と同じく「ハイ・インテンシティー」を実行し、
完全にゲームの主導権を握りにかかった。
実際にその策は功を奏し、シティは窮屈な攻撃に終始。
ポチェッティーノが作り上げたチームは、
昨季の堅守速攻をベースにしつつも、更に”戦う集団”に鍛えあげた。
試合の主導権を常に握ろうとし、最後まで走りきるチームを構築。
昨季のような取りこぼし、慢心からの失点を減少させている。
最後の最後で失速した昨シーズンの反省を踏まえた確実な修正だ。
後半もトッテナムがリードし続ける。
数少ないビッグチャンスもシティは決めきれず、試合はそのまま終了。
2-0で、2位トッテナムが快勝した。
エース・ケイン不在の中フィニッシュとチャンスメイクを担うのが
今シーズン好調を維持しているFWソン・フンミン。
得点とアシストをコンスタントに残している彼は、
この試合でも好パフォーマンスを見せていた。
足元の技術を活かしたパスワーク、ラストパス、フィニッシュは効果的。
本来の豪快なプレースタイルも相まって、チームに推進力をもたらした。
(時折、その気質ゆえかチャンスを潰す事もあるが…)
アリが結果を残したことで、チームには更に躍動感が生まれた。
昨季躍進の原動力となったアリ。
今夏にはEUROに選ばれるなど、素晴らしいキャリアを歩んでいる。
そんな彼が重要な試合で決定的な仕事を行う事は
トッテナムの首位奪取には必要不可欠であり、
ポチェッティーノ監督も度々重要性を口にしている。
エリクセンと並びチームの攻撃タスクを担う重要戦力であり、
今後も中盤の出来を左右するキーマンとなり続けるはずだ。
試合の結果、スパーズはシティに1ポイント差と迫った。
首位の座は既に手の届く位置にある。
昨季あと少しで叶わなかった首位の座を、
スパーズは何が何でも手にしたいはずだ。
シティはこの試合が今季初の公式戦敗北。
アウェイとはいえ、重要な一戦を落とした意味合いは強く、
また何より内容が良くなかった事が大きい。
ペップの浮かない表情も気掛かりで、
もしチーム内の求心力が徐々に失われてしまうようであれば、
CLと国内戦の厳しい日程を乗り越えるのは困難になってしまうだろう。
これから代表ウィークに入る為、一旦クラブから選手は離れる。
もし仮に選手が負傷して帰ってでもしたら…
シティは未だ首位だが、その座はかなり危うい状況になりつつある。
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Matthew |