昨季と一昨季のプレミア王者が激闘を繰り広げた。
キャピタル・ワン杯3回戦が20日に行われ、
レスターの本拠地、キングパワー・スタジアムにて
チェルシーと対戦した。
両者共にスターティングメンバーはリーグ戦などで
出場機会の少ない選手が多く、
レスターは岡崎やグレイ、ムサ、ヴァシレフスキなど、
チェルシーはセスク、ペドロ、ロフタス=チークが名を連ね、
またチェルシーは新加入のM.アロンソとD.ルイスも先発した。
試合展開はアウェイのチェルシーが有利に進むも、
この日のチェルシーは攻撃よりもむしろ守備に隙があった。
M.アロンソとD.ルイスが組む左サイドはバランスに欠け、
守備ブロックの隙間を上手く活用されてしまった。
そんな流れの中、岡崎が泥臭くチャンスを決め2点を奪う。
この日の岡崎は従来のハードワークのみならず、
積極的にゴールへの意識を感じさせた。
CL、リーグ戦と出場機会に恵まれなかった彼は、
攻守のトラジションにおいて重要な役割を果たした。
「勝つ」事への執念がプレーに表れていたし、
何よりチェルシー相手に2得点を決めるのは並大抵の事ではない。
チェルシーもセスク、ペドロらを中心にチャンスを作るも、
フィニッシュの場面ではレスターGKのツィーラーが
素晴らしいセーブを立て続けに見せる。
このまま前半が終えたいレスターだったが、
CKからケーヒルが合わせ1点を返す。
ファーサイドで完全にフリーとなったケーヒル。
レスターからすれば、あってはならないミスだった。
前半終了時点で2-1のリードを奪ったレスター。
本来なら有利なのは言うまでもなくレスターだが、
主導権を握っているのはチェルシーであり、
追加点を奪わなければ更なる失点は時間の問題だった。
特にヴァシレフスキとモーガンはバチュアイを捕まえきれず、
バイタルとライン裏を自由に動き回る彼を捉えられない。
更に、この状況にコンテが黙っている訳がなかった。
先日のリバプール戦を落とし、
チェルシーは何が何でも勝利が欲しかったのだ。
後半からのチェルシーが更に攻撃に出る事は明らかだった。
後半からチェルシーはゲームのテンポを上げた。
DFラインを高く設定し、よりコンパクトな布陣を敷く。
セスクを中心にテンポよくパスを回し、
サイドと中央をうまく経由してレスターのブロックをずらし、
瞬間的な動き出しをバチュアイが行う事で
決定的なチャンスに繋げていった。
そして後半開始早々、チェルシーは同点を決めた。
後半からチェルシーはレスターを押し込むことに成功し、
両サイドバックをより攻撃的な位置へ。
レスターのクリアボールを拾ったアスピリクエタが
右足を一閃し、見事なボレーをゴール右隅に決めた。
これにより試合は振り出しに戻り、
決まりかけていた試合をチェルシーは取り戻した。
同点後のチェルシーはDFラインを本来の位置まで下げ、
リスク管理を行うような布陣にシフト。
これにより押し込まれる展開の多かったレスターも
ボールを中盤で運べるようになり、
チャンスを作れるようになった。
お互いチャンスを作るも試合を決めきれない両者は
主力の投入を決断。
レスターはヴァーディ、
チェルシーはD.コスタとアザールを出場させた。
膠着状態が続き、このまま延長に入ろうかという時に
レスターにアクシデント。
レスターCBヴァシレフスキがD.コスタへの危険行為を取られ
一発退場となってしまう。
レスターが1人少ない状態のまま入った延長前半。
最早レスターに、チェルシーの攻撃を防ぎきる力は残っていなかった。
試合を決めにかかったチェルシー。
途中出場で溌剌とした動きを見せるコスタやアザールを
相手にする力はレスターに残っておらず、
ただ彼らの動きに翻弄されてはチャンスを作られてしまった。
ツィーラーはそれでもビッグセーブを見せたものの、
92分、94分と立て続けに失点。
レスターをドン底に落としたのは、セスクとアザールだった。
3点目と4点目の起点はどちらもアザールのドリブルで、
ついていく事すらレスターのDFには困難だった。
この司令塔として攻撃の中心であり続けたセスクは、
延長に入っても走り続け、最後には試合を決める2点を奪った。
まさに劇的だった。
リバプール戦で敗北を喫し、ムードの悪い中での一戦。
2点を先制されたのも守備陣のバランス欠如からであり、
「らしくない」シーンが多い内容だっただけに、
この日を勝利で終えられた事はチェルシーにとって大きなプラス。
悪い流れを自らの力で断ち切れた事を誇るべきであり、
なおかつ出場機会に恵まれていないセスクが大活躍したのは、
チーム内の競争力活性化に大きく寄与するはずだ。
試合に出れば決定的な仕事をしていたセスクだけに、
今後の出場機会も期待していきたいところ。
右アスピリクエタ、左アロンソの布陣も機能しただけに、
チェルシーにとっては非常に実りのある試合だった言っていい。
ともあれ、これは勝利できたから言える事で、
2失点を与えてしまったことは反省しなければならず、
コンテが今後どのような調整を敷くか、注目していきたい。
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Matthew |