16日にプレミアリーグ第5節が行われ、
チェルシーは本拠地スタンフォード・ブリッジに
リバプールを迎え入れた。
チェルシーはこれまで主将テリーが先発を続けていたものの、
先日靭帯の負傷を負ったことで欠場。
今夏移籍最終日に加入したダヴィド・ルイスがCBで先発した。
また、コンテは先発メンバーをテリー以外変えていないものの、
システムを4-1-4-1より4-2-3-1気味に変更。
マティッチとカンテをよりディフェンシブに、
逆にオスカルをオフェンシブなポジションに変更した。
従来の試合よりもチームの重心を下げ、
プレスエリアをより自陣深くに設定した。
結果は1-2。
ホームのチェルシーが敗北を喫した。
リバプールは前半に2点を先制、
後半にチェルシーも1点を返したものの及ばなかった。
両者の守備戦術は対照的だった。
チェルシーはチームの重心を下げ、
DFライン付近のスペースを徹底的に消した。
対してリバプールは従来の試合通り”アグレッシブ”。
ゲーゲンプレスを敢行し、中盤でのビルドアップを封鎖した。
主導権を握ったのはリバプールで、
パスのスピード、オフ・ザ・ボール、フィニッシュの質が高い。
チェルシーはサイド攻撃を狙うも、
中央エリアがD.コスタとオスカルのみで散発的な攻撃に終始した。
(それでもチャンスは作れていたが、エリア内の精度が不足)
互いにチャンスを作るも膠着状態。
そんな中、セットプレーの流れからチェルシーは失点。
それまでリバプールの攻撃を巧く耐えていた事からも、
非常に悔やまれる失点だった。
失点時エリア内のDFはゴール前を固めようとするあまり、
ほぼすべての選手がボールウォッチャーになってしまっていた。
気持ちが入っていたからこそ、悔やまれるシーンだ。
失点してからはチェルシーもプレスエリアを上げ、
中盤でも積極的にボール奪取を狙った。
結果攻撃にもよりリズムが生まれたが、
エリア内での精度と決定力だけは変えられなかった。
2失点目に関しては、チェルシーがどうのというよりも、
ただただヘンダーソンが素晴らしかった。
思い返しても、あのシュートは見事と言うしかない、
それくらい完璧なシュートだった。
後半に入ってからよりアグレッシブに動くチェルシー。
61分にマティッチが上手く2列目から飛び出し、アシスト。
D.コスタの2戦連続となるゴールで1点を返したものの、
その後得点を挙げる事はできず敗北となった。
2失点をしてしまったチェルシーだが、
かつてCLを制したケーヒルとD.ルイスのコンビは
連携と経験共に問題なし。
ブランクからかポジションバランスに不安定さはあったが、
試合全体を通してみれば良くやったと言うべきだろう。
またD.ルイスが入ったことで縦へのフィードが増え、
より攻撃の戦術オプションも広げられた。
ただ、カンテとマティッチの2ボランチ起用は課題だろう。
確かにバイタルエリアの強度は増し、
リバプールに安易なスペースを与える事も少なかった。
しかし互いにうまく連動する事は出来ず、
互いの得意なポジションエリアも被り、プレスに躊躇する場面も。
互いの豊富な運動量が、むしろプレーエリアを狭めてしまった。
今後試合を通して、バランスを調整していきたいところだ。
この日結果こそ出せなかったものの、
試合を通して気迫を感じたのはアザール。
守備時には最終ライン付近まで下がり、
セカンドボールに対しては迅速に寄せた。
激しいマークを90分通して受けたものの、
正面を向いてボールを持てば必ずチャンスを創出した。
今シーズンの彼は違う。
そう言い切れる試合内容だった言っていいだろう。
とはいえ、彼とウィリアンを起点としたサイド攻撃以外に
可能性を試合中感じなかったのも事実。
ビルドアップも単調で、中央を上手く生かせなかった。
(中央とサイドを上手く使い分けられるようになったのは、
この試合でもやはりセスクが出場してから)
D.コスタとオスカルは相手DFラインに吸収され、
相手最終ラインに平行したポジションを取る事も多く、
相手バイタルエリアを全く生かせなかった事も反省すべき。
パスコースもサイドに限定され、
相手CBの対応は至ってシンプルだった事は否めない。
コスタ+2列目の選手を縦の関係におき、
ポジションの「縦幅」を持たせたかった。
リバプールが息切れし始めた60分以降、
ゲームの主導権をほぼ握りながら1得点に終わった事は、
今後の課題にすべき内容と言えるはずだ。
悔やまれる試合結果である事は間違いないし、
ホームで今季初の敗北を喫したのも残念でしかない。
しかしリバプールが素晴らしかったのも事実で、
特にララーナ、ヘンダーソン、コウチーニョは称賛に値した。
両チーム全員がハードワークに徹し、
この試合に懸ける想いの強さを感じる試合だった。
試合後、クロップはピッチの選手達と熱い抱擁を交わした。
そしてその姿から、いかにリバプールの指揮官と選手が
「堅く、熱く」関係を築けているかを改めて感じた。
あの姿を観た人ならば、
リバプールがどれだけ結束したチームに成長を遂げ、
チェルシーが素晴らしい相手に敗北したか分かったはずだ。
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Matthew |