9月10日、オールド・トラッフォードでは
今季最初のマンチェスター・ダービーが行われた。
両者ともに昨季は不本意なシーズンを過ごし、
この夏に新指揮官を迎え大型補強。
タイトルに本腰を入れて望んだ今季、
マンチェスターの両雄はプレミア開幕3連勝。
最高のスタートを切り、この試合を迎えた。
下馬評では、ホームのユナイテッドが優勢の見方もあった。
モウリーニョが築いた組織は強固で、
今夏獲得した選手はいずれもビッグネーム。
結果を残しながらも時間帯ではまずい戦い方を見せるシティには
付け入る隙があるのでは、との見解もあった。
しかし、試合が始まれば隙を見せたのはむしろユナイテッドで、
シティの高い機動力と戦術性のパスワークを止められない。
またこの日先発に抜擢されたムヒタリアン、リンガードは
攻守において安定せず、不用意なロストを繰り返してしまった。
得点こそは動く事は少なかったものの、
シティが大量得点をしてもおかしくはない内容だった。
特にフェライニ&ポグバの両ボランチは
デ・ブルイネとシルバの流動的なポジションワークに苦戦。
片方が釣り出され、スペースを活用される場面が多かった。
試合後、モウリーニョは選手への批判を隠さなかった。
「試合の責任は全て私にある。」と前置きしたうえで、
「数名の選手は求められる本来のパフォーマンスレベルに達していなかった」
と、選手のパフォーマンスに不満を露わにした。
名指しはしなかったものの、彼がそう感じた選手が
ムヒタリアンやリンガード、CBながら軽率なプレーが多かった
ブリントなどであることは誰の目にも明らかだろう。
とはいえ、ムヒタリアンとリンガードの起用はサプライズなものの、
これまで固定メンバーで戦ってきたチームに競争心を生み出すには
うってつけの采配だった。
特にこれまで起用の少なかった彼らは、
このダービーに大きなモチベーションを持って準備していたはずだ。
そんな彼らの姿勢を買って起用したのであれば、
モウリーニョの判断も決して間違いだったとは言いにくい。
むしろ、V.ハール前監督時代からコンスタントに出場を重ねる
ブリントの軽いプレーの方がよっぽど批判されるべきだ。
まるで中盤での何のリスクもない競り合いのようなプレーで
デ・ブライネの突破を許し、先制点を与えてしまった。
高い集中力を持っていればあんな簡単なプレーはしなかったはずで、
スモーリングがケガ明けである事が本当に悔やまれたシーンだ。
モウリーニョが選手への不満を口にしたことで、
昨季のチェルシーでのような悲劇が繰り返されるのでは、
との声もちらほら聞こえるようになった。
しかし、彼の発言は全くの無責任な内容ではなく、
たとえ彼が口にせずとも明らかだった事だ。
むしろ、彼の発言自体が、ユナイテッドが
「戦う集団」へと生まれ変わった事の何よりの証明。
V.ハールがいた頃では感じなかった、
「勝利への飽くなきメンタリティ」を持っている。
ミスは許されない。勝利が絶対であると。
名門が取り戻すべき精神を、
モウリーニョはチームへと、選手へと植えようとしている。
スターであろうが、ビッグネームであろうが、
勝者でなければ何の意味も成さないのだ。
この試合から得た経験を糧にできれば、
ユナイテッドは勝者のメンタリティを取り戻せるだろう。
敗北から学べる事は、勝利した時よりも多いのだから。
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Matthew |