クロップ・リバプールは止まらない。
プレミアリーグ第4節、リバプールはレスターを本拠地に迎え、
改修工事を終了したアンフィールドで初のホーム戦を戦った。
結果は4-1でリバプールの快勝。
昨季王者にかつての姿はなく、ユルゲン・クロップが示した
「ハイ・インテンシティー・フットボール」に屈した。
美しいとしか言い様がなかった。
アタッキングサードでのオフ・ザ・ボールは圧巻。
ボールの出し手がルックアップした瞬間には、
必ず複数の選手がライン裏、もしくはスペースに向かってスプリント。
チャンスを自ら作り出す、そして自分が起点となる姿勢は
90分を通して最後まで徹底されていた。
レスターのDFラインは機動力に優れたメンバーではなく、
1対1や空中戦に秀でた選手ばかり。
その点でもレスターはリバプールとは相性が悪かった。
リバプールが中盤でリズミカルにボールを回し、
レスターのボランチがプレスの為前に出た瞬間ギアチェンジ。
ダイアゴナルなスプリントを躊躇いなく敢行し、
試合の最初から最後までレスター守備陣を苦しめ続けた。
この試合で触れておきたい選手がフィルミーノとララーナ。
前者は2得点を挙げながらもチャンス&スペースメイクも兼任。
自ら作り出したスペースに味方を走らせ、
完璧なタイミングでスルーパスを通すなどまさに攻撃の中心だった。
後者はパスとドリブルを巧みに使い分け、レスターのプレスを掻い潜り
決定的なチャンスの起点になった。
また、豪快なシュートから奪った3点目は試合を決定付け、
一時レスターに傾きかけた空気を一変させたと言っていい。
終わってみれば4-1。
リバプールの失点は途中出場のルーカスの軽率なプレーで、
決して流れから崩されて奪われたゴールではない。
試合の大半で主導権を握ったのはリバプールで、
堅守を信条としていたはずの王者の姿はそこにはなかった。
元々カウンターを得意としていたクロップ。
就任2年目となる今季は攻撃メソッドが選手に浸透し、
よりアグレッシブさ溢れる攻撃が可能となった。
大黒柱コウチーニョがベンチなのを感じさせないほどに、
この日のリバプールは輝いていた。
しかし、懸念もある。
アタッキングサードでの完璧さとは裏腹に、
DFライン付近でのビルドアップは未だ課題。
相手FWをかすめるようなパスワーク、不必要なタッチ。
決して小さくないリスクを抱えるプレーが見受けられ、
実際にいくつかはレスターのチャンスに結びついてしまった。
相手陣内での完成度は高まっているが、
自陣での戦い方ないし戦術の成熟度はまだまだ完成に程遠い。
確かにレスターも不本意なパフォーマンスだった。
昨季後半のような堅守の面影はなく、
機動力に乏しいDFラインはリバプールの選手を捕まえきれない。
結果ライン裏へのダイアナゴル・ランを終始許してしまった。
中盤ではプレスをかけては掻い潜られ、
逆に引き出されたスペースを活用され次々とチャンスを作られた。
流れを取り戻せたのは相手CBルーカスの不用意なプレーからの得点後で、
自ら試合をコントロールできた時間帯は少なかった。
電光石火のカウンターも、ドリンクウォーターのミスもあり不調。
昨季の王者らしくない内容だった。
とはいえ、この試合において重要なのはレスターが悪かった事ではなく、
リバプールが素晴らしかった、という事ではないだろうか。
惜しみないプレスとランニング。
躊躇なくライン裏へと飛び出す、インテンシティー溢れる攻撃は
今季のリバプールの象徴となるはずだ。
![]() |
Matthew |