現地15日に行われたプレミア16-17シーズン開幕戦。
今シーズン初の公式戦となったチェルシーだが、
この試合で採用した布陣は4-1-4-1。
アンカーに新戦力のカンテを起用し、
中盤での圧力を高めると共に、
選手間の距離をコンパクトに保とうとしていた。
まず、カンテのアンカー起用について。
カンテの機動力と奪取力、パス能力を活かし、
バイタルエリアの封鎖とリンクマンの役割を担った。
ビルドアップ時には両サイドやCBの間に移動し、
オスカルや両ウイングの高いポジショニングを促した。
とはいえ、アンカーを採用する相手に対して、
その両脇のスペースを活用する事は攻撃のセオリーでもある。
実際ウエストハムもそれを狙ってはいたものの、
オスカルやマティッチのコンパクトなプレスによって遮断。
カンテ自身も状況判断に優れ、鋭い読みを持ち味にする為
その危険性を最低限に留めていた。
しかし、カンテ自身まだチームに合流して2週間。
連動性やオートマティックな流動性は感じられず、
今後時間をかけて中盤の質を高めていく必要があるだろう。
また、カンテのこういった起用法もまた、
コンテのメッセージの1つとして捉えられる。
この試合における1つのテーマが、
昨季失ってしまった「インテンシティー」を取り戻す事。
昨シーズンは攻守両面で消極的であり、
試合を優位に進めながらも失点を重ねてしまった。
選手のコンディションは上がらず、求心力も低下していった。
しかしコンテが就任したことで、文字通り「闘魂」を宿した。
選手には激情を以てメッセージを伝え、
テクニカルエリアで選手同様に「戦う姿勢」を貫き通した。
敵がボールを奪えば躊躇なくプレスを敢行。
リトリートはプレスを潜られた場合であり、
基本的にはラインを押し上げてコンパクトな陣形を保った。
左サイドはアザールとマティッチ、
右サイドにはウィリアンとオスカールなど
中盤でのプレスバランスも考慮しての4-1-4-1だろう。
また選手全員にハードワークが徹底されており、
D.コスタが最前線から最終ラインまで
執拗なチェイシングを行う場面も見受けられた。
またミスがあっても、そのプレーの意図した先が良ければ
惜しみなく拍手を送っていたのも印象的だ。
選手もまたそれに応えるよう、
よりアグレッシブに、より情熱的に動いていた。
チームコンセプトは既に浸透していると言っていいだろう。
綿密なプレシーズンを過ごした事でベースは出来つつあり、
これからはその上に攻撃スタイルを上乗せしていく事になる。
ウエストハム戦の攻撃戦術は真新しいものではなく、
コンテ流のスタイルを伴っていたものではなかった。
あくまで選手間のフィーリング、培った経験によるものだった。
今後プレミアを戦っていく上で修正していくのは攻撃であろうし、
アザールやウィリアンなどウイングの使い方に注目したい。
![]() |
Matthew |